スマートウォッチで正確に血圧測定できる時代がきた!:オムロン「HeartGuide」レビュー
じいじ、ばあばに贈りたいスマートウォッチNo.1。
アメリカで先行販売されているオムロンのスマートウォッチ「HeartGuide」。従来の血圧計と比べて、手首で簡単に血圧を測定することができます。でも、数千円で買える血圧計に対して、HeartGuideは数万円。果たして価格に見合うのでしょうか...?
実際に試してみた米GizmodoのVictoria Song記者によるレビューがこちら。
サイレントキラーともいわれる高血圧。アメリカではおよそ3人に1人が高血圧で、年間1100人もの人が亡くなっています。
多くのウェアラブル機器によって、心拍数を測ることは身近になりつつありますが、血圧に関してはそうではなく、医療機関でも従来の血圧計が用いられています。
そんななか登場したオムロンのHeartGuideスマートウォッチは技術的にも画期的で、ひとりで簡単に血圧を測定できます。
Omron HeartGuide
これは何:血圧計スマートウォッチ
値段:500ドル
好きなところ:読みが正確。使い方がわかりやすい
好きじゃないところ:ごついデザイン。スマートウォッチとしての機能は不足している
使い方は、簡単。上の画像のように胸元まで腕を持っていき、右側トップにあるボタンを押すと、あっという間に血圧が画面に表示されます。正常域であれば緑色、高血圧であれば赤色の線がでるので視覚的にもわかりやすくなっています。
内側についているストラップで血圧が測れるようになっていて、データは専用アプリであるHeartAdvisorにも同期されます。
いままでの血圧計と実際に比べてみた
約4,000円で従来の血圧測定機を購入して、HeartGuideと比較してみました。
オムロンのスマートウォッチが110/62、心拍数68と出たのに対して、従来の血圧計では113/70、心拍数67と同じような結果に。どちらも数分内で結果は出ましたが、HeartGuideのほうが従来の血圧計よりもずっと手軽で、同じくらい正確な数値が出ることがわかりました。
従来の血圧計とほぼ同じ性能のものを持ち運べるともなれば、血圧を気にしている方々にとって新たな健康管理方法として役立つことが期待されます。これまでお医者さんに診てもらっていたり、自宅に血圧計を置いておいたものがポータブルになることで、どこでもチェックできるようになるのは大きな可能性だといえます。
高血圧の人に使ってもらった
私自身はありがたいことに健康なので、代わりにルームメイト(高血圧持ちで、家族にも心臓疾患を抱えた人がいる)に1週間使ってもらうことにしました。
彼は仕事の休憩中によくチェックしていたそうで、手首で血圧を確認できるのはかなり役立ったとのこと。これを見るたびに薬の服用を思い出したといいます。また、安静時の脈拍が上がっていることにも気がついたので次回の診療で相談することにしたそうです。
好きじゃないところ
でも、ちょっと残念な点もあります。私もルームメイトも同じように感じたのが、デザインがごついということ。もっと客観的な情報を記しておくと、直径48mm、厚さ1.3cm超という大きさ(ちなみにSamsung Galaxy Watchでも46mm)にして、最近はスマートウォッチの軽量化が進んでいるなか重さは約116gと平均以上になっています。
私が使用したのはMサイズで、オムロンいわく70%の人々の手首にフィットするとのこと。ただ、私には大きくて、計測する際ちゃんと手首部分が包まれるようにちょっと押す必要がありました。いっぽうで、私のルームメイトはかなり窮屈に感じていたようです。
S、Lサイズも今年後半にリリース予定となっています。これは、サイズの違いによって血圧を計算するのに使用されるアルゴリズムが異なるため、ひとつひとつFDA承認のプロセスが必要となるのだとか。それにしても、上着の袖に引っかかったり、タイピングがしづらかったり、睡眠中は腕につけていたくないので外したり...。それに、正直言ってHeartGuideはおしゃれではないんですよね。カーゴパンツにスニーカーを合わせたお父さんスタイルというか...。(悪気はないんです。)
もっとも、オムロンにとって見た目の美しさが今回のスマートウォッチで追及したかったことではないのはわかっています。それに、この血圧計という機能がもっとも普及しやすいのは、おそらくお年寄りの方々であることも指摘できます。
でも、そうなると約5万円支払う価値がどれほどあるのか...という問いに打ち当たります。
血圧が測定できる機能は、素晴らしいです。でもほかのスマートウォッチと比べると、機能が充実しているほうではないともいえます。
オムロンHeartGuideにできることは、歩数、移動距離、消費カロリー、睡眠パターンなどの計測。電話着信やメール受信の通知も受け取れます。以上。
面白いサードパーティ製アプリなどとの連携はありません。おそらくこのデバイスで実際によく使うであろう唯一のアプリといえばオムロンのHeartAdvisorで、HeartGuideと連動して血圧の傾向を管理したり、日々の行動がどう健康に影響を与えるかといったインサイトを示してくれます。
バッテリー寿命に関しては、なんの文句もありません。オムロンいわく、どのくらい頻繁に血圧を測るかにもよりますが、週に2〜3回ほどの充電で済むと見込んでいるようです。実際、1日に2度ほど血圧測定をしていましたが、3日は充電せずに済みました。
史上初ともいえる血圧を正確に測れるスマートウォッチ。でも、血圧測定のほかに充実した機能がないことはたしかです。これが初代バージョンだとして、もしオムロンが次世代バージョンを考えているとしたら、改善点がいくつかあると思います。もっとコンパクトで、もっとデザイン性があって、もっと使えるアプリや通知機能も拡大して...。
でも現段階で、HeartGuideはお年寄りに贈るギフトとして最適だと思います。もっと具体的なペルソナとしてはおそらく60歳以上の高血圧持ちで、簡単に血圧管理できる方法を探している人。もちろんたとえばの話ではあるのですが。(それに、私のルームメイトのような例外もありますね。)
いずれにせよ、HeartGuideのようなスマートウォッチ型の血圧計を求めていた人が多くいることは間違いないでしょう。じつはSamsung Galaxy Activeも血圧管理機能があります。が、センサーで読み取ったデータをもとに血圧を推定するもので、ベータ版、FDA認可なし。
家族に心臓疾患を経験された方がいたり、血圧が高い方がいたりする人にとって、オムロンのHeartGuideはギフトとして最適かもしれません。