「iPad+キーボード」でもっと生産性を上げる技
iOS 13.4でトラックパッドやマウスといったポインティングデバイスに正式対応し、さらにPCへと近づいたiPad。iPad Proの場合、キーボードとトラックパッドが一体になった純正のMagic Keyboardを使えば、あたかもノートPCのようなスタイルで利用できる。キーボードを打つ手を止めてディスプレーをタッチする必要がなくなるため、文字入力しながら画面を操作したいときに便利だ。
とはいえ、トラックパッドでも、操作するときにキーからいったん指を離さなければならない。カーソルを移動させて必要な場所をクリックするのは、慣れてくると少々まどろっこしく感じるのも事実。スクリーンショットの取得のように、トラックパッドの操作ではできない機能もある。
このようなときに便利なのが、キーボードショートカットだ。
実はiPadも、キーボード装着時にはMacと同様、キーボードのキーを複数同時に押すショートカットを利用できる。また、カスタマイズすれば、より多彩な操作をキーボードだけでこなせるようになる。WindowsのPCを使っている人はキーの組み合わせが異なり、なじみがないかもしれないが、覚えておけば格段にiPadの操作がスムーズになる。ここでは、そんなキーボードショートカットにまつわる技を紹介していきたい。
1.ショートカット一覧はCommandキーを長押し
iPadは、キーボード装着時に、キーを複数押すことでショートカットを利用できる。例えば、「Command」+「Shift」を押しながら「3」をクリックするとスクリーンショットが取れる。スクリーンショットは、電源キーと音量の上を押さなければならない(ホームボタンのないiPad Proの場合)ため、キーボードを装着している際には、ショートカットを利用したほうが手っ取り早く操作できる。
ほかにも、「Command」+「スペース」で検索、「Command」+「A」でアプリの切り替えといったショートカットを利用できる。「Command」+「H」は、ホーム画面の表示に割り当てられている。「A」は「Application」の「A」、「H」は「Home」の「H」で、比較的覚えやすい。ただ、そうはいっても、ショートカットは数が多く、なかなかすべてを覚えるのは難しい。
そのようなときに便利なのが、「Command」キーの長押しだ。このキーを長押しすると、どのようなショートカットが利用できるのかが一覧表示される。最初のうちは、これを見ながら操作し、徐々に覚えていけばいいだろう。ただし、前述のスクリーンショットなどは、この一覧表には記載されていないため、例外として記憶するようにしておきたい。
また、ショートカットでできることは、アプリごとに異なっている。上記の例は、ホーム画面を表示している場合のもの。例えばカレンダーでは新規イベントを「Command」+「N」で作成できるほか、検索は「Command」+「F」、当日を表示には「Command」+「T」が割り当てられている。Pagesは、書類の新規作成が「Command」+「N」、フォルダーの新規作成が「Shift」+「Command」+「N」といった具合だ。
アップルの純正アプリは、多くがショートカットに対応しており、キーボードだけである程度の操作をこなせる。一方で、サードパーティーのアプリの対応状況はまちまち。iPad版LINEのように、新規作成やタブの移動をキーボードのショートカットだけでできるアプリもあれば、Gmailのように対応している操作が1つもないアプリもある。すべて覚えるのはさすがに難しいため、利用頻度が高いアプリで「Command」を長押しして、どのようなショートカットが使えるかを確認しておくといいだろう。
2.「フルキーボードアクセス」をオンにする
便利なキーボードショートカットだが、できることは限定されている。スクリーンショットや検索、アプリの切り替えをする際には役に立つ一方で、例えばホーム画面で、アプリを選んで起動するといったことはできない。トラックパッドでカーソルを操作し、カーソルを合わせた後、アイコンをタップする必要がある。
この機能は、キーボードショートカットとは異なり、標準ではオフになっている。利用するには、「設定」アプリを開き、「アクセシリビリティ」で「キーボード」を選択。「フルキーボードアクセス」をタップして出る画面で、「フルキーボードアクセス」のスイッチをオンにすればいい。
すると、設定画面の一部に、青い枠が出現する。この状態で方向キーを押すと、青枠を移動させることができる。青い枠は15秒ほど経つと消えるが、方向キーを押すと再度出現する。この枠は、画面がツリー構造で表示されている場合、どちらのウィンドウを操作するのかを表すものだ。ボタンなどをタップしたいときは、スペースキーを押せばいい。
ホーム画面では方向キーを押すと、アプリのアイコンが青枠で囲まれる。その状態でスペースキーを押すと、アプリが起動する。タッチの代わりにキーボードで操作できるようになるというわけだ。これを駆使すれば、キーボードからいったん指を離す必要がなくなり、スムーズにアプリを立ち上げることができる。
また、フルキーボードアクセスがオンになっている場合、「Tab」+「A」で「Appスイッチャー」が、「Tab」+「C」でコントロールセンターが、「Tab」+「N」で通知センターが起動する。
Appスイッチャーは通常、ディスプレーを4本指でピンチインしたり、画面下部からフリックしながら途中で指を止めたりして表示させるが、複数の指を使わなければならず、操作が煩雑。これに対し、フルキーボードアクセスなら、2つのキーを同時に押すだけだ。コントロールセンターや通知センターも、トラックパッドだと少々出しづらいため、この裏技を駆使するといいだろう。
3.フルキーボードアクセスをカスタマイズする
キーボードでiPadを操作したい人には欠かせないフルキーボードアクセスだが、割り当てられているキーが必ずしも使いやすいかというと、そうでもない。例えば、スイッチをオンにしたり、アプリを起動したりするためのボタンがスペースキーになっているが、操作を確定させるという意味では、リターンキーのほうが感覚的に理解しやすいだろう。
このようなときは、フルキーボードアクセスに割り当てられているキーを変更するといい。「設定」で「アクセシリビリティ」を開き、「キーボード」で「フルキーボードアクセス」を選択した後、「コマンド」を選択。ここで、動作に対して割り当てられているキーを変更することができる。
上記のように、決定するキーをスペースキーからリターンキーに変えたいときは、「アクティベート」の項目をタップ。リターンキーを押した後、画面上で完了をタップする。これで、設定項目を選択するときや、アプリを起動するときのキーがリターンキーになる。
「Tab」や「Command」などのキーを組み合わせて呼び出す機能も、どれか1つのキーとアルファベットに統一しておけば、操作を覚えやすくなるはずだ。初期状態ではホーム画面に戻る操作が「Command」+「H」なのに対し、Appスイッチャーは「Tab」+「A」になっている。
これを、「Command」か「Tab」のどちらか1つに統一するといったカスタマイズも可能だ。ほかにも、Siriの呼び出しや画面のロック、Dockの呼び出しなどに、それぞれにコマンドを割り当てることができる。
キーの組み合わせを覚えなければならず、ある程度の慣れは必要になるものの、iPadをキーボードだけで素早く操作したい人は、ぜひ設定しておきたい。