女子陸上日本記録保持者・田中希実が語る“楽しく”走り続ける方法【専門家が監修】
(撮影/下屋敷和文)
陸上1500m、オリンピックでこの種目に出場した日本人選手はこれまで皆無。それが、東京では田中が堂々と結果を残した。打ち立てた日本記録は3分59秒19。今回は、そんな田中に初心者が楽しく、長く走るにはどうすればいいかを自身の子供の頃からの経験を踏まえて教えてもらう。
きれいな景色の中で、最初はジョグからでも
夢の祭典が終わって、田中の中では大きな変化が起きたようだ。「結果を出せたことで気が楽になったというか、オリンピックの名残なのか、走っていてもスピードが乗せやすくなったし、ジョグもリズムを作りやすくなった。今は久しぶりに走るのが楽しいと感じています」(田中希美選手)心身の疲労を回復させ、いま一度競技への意欲を高めるため、大会後に田中は北海道に赴いた。といっても、そこでも走るのは日課であるが。「北海道は合宿でも行くのですが、今回はそういう場所ではなくて、リフレッシュを兼ねて富良野とか函館に行きました。景色がいいので走っていて楽しいし、ルートを決めずに走ったので、あとで地図で見直して“こんなところを走っていたんだ”ってわかったりとか。何かすごく新鮮な感じがして面白かったんです」(田中希美選手)父は3000m障害の元エリート選手であり、母は北海道マラソンで2度も優勝したランナー。田中は3歳のころから、両親とあらゆる場所を走ってきた。「母が海外の大会に招待されたり、父がランニングイベントを開催したりして一緒に旅行できるのが楽しかった。だから走ることよりは、そのオプションが好きだったんです」(田中希美選手)走り疲れたら親がひょいっと背負ってくれる。幼いころから、いろんな風景の中を走ってきた。その思い出が、今の彼女の根っこにはあるのかもしれない。陸上の道に進むと決めたのも、オーストラリアの美しい海岸線を走る、ゴールドコーストマラソンの4kmレースで優勝したときだ。小学校6年生だった。「都会の人には難しいかもしれないんですけど、まずは景色がきれいでランニングコースもあるような場所を走ると楽しいですよ。何のストレスも感じないし、時間もあっという間に過ぎてしまいますから。今回の北海道はランニングコースがなかったのですが、人自体があんまりいないから快適だった(笑)。いつもトラックで練習しているので、まったく違った感覚で走れましたね」(田中希美選手)
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