「あなた、うちの夫とつきあってますよね」37歳女性の幸せな日々をブチ壊した「1本の電話」
携帯電話が普及した今、相手が既婚者だとわからないままつきあってしまう事態が増えている。そこから波乱に満ちた人生を送ることになった女性に話を聞くことができた。
偶然、出会ったサークルの先輩と…
都内在住の富永麻里さん(37歳・仮名=以下同)が、大学時代に所属していたサークルの先輩である田中大輔さん(39歳)と再会したのは、5年前のことだ。出張のため東京駅で東海道新幹線を目指して歩いているとき突然、声をかけられた。
Photo by iStock「在学中は特に親しいわけでもなかったんですが、ああいう場所で会うと親近感がわきますよね。彼も出張で東北新幹線に乗るんだと言っていました。今度、有志でOB会をやりたいから相談に乗ってと言われて、慌ただしく名刺交換だけしたんです」
打ち合わせと称して会ったが、話に夢中になって気づいたら3時間がたっていた。今度こそちゃんとOB会のことを話そうと思っても、その後もさまざまな話に花が咲くだけだった。一度、麻里さんが打ち合わせに行けなくなったことがあった。結婚を考えていた恋人に二股をかけられていたことが発覚、あまりのショックに寝込んで打ち合わせを失念したのだ。
「電話にも出なかったから彼は心配したんだと思います。夜中に訪ねてきてくれ、玄関の外から『いるなら返事だけでもして』と声をかけてくれました。そうっとドアを開けると、『ああ、よかった。打ち合わせに来ないから心配したよ』と。そこで初めて待ち合わせていたことに気づきました。
ごめんなさいと言うと、『気にしなくていいから。何かあったら連絡して。おいしいもの持ってきたからかけておくよ』と去っていきました。ドアノブにかかっていたのは台湾料理。今度、おいしい台湾料理に行こうと話していたので、わざわざ行って買ってきてくれたようです。まだ温かい料理を食べながら泣いたのを覚えています」
それをきっかけに大輔さんとの距離が縮まった。OB会の打ち合わせという話はどこかに飛んで行き、映画を観に行ったりライブに行ったりするようにもなった。気づいたら10日間に4回も会っていたことがあった。
「これって恋人みたいねと笑って言ったら、彼が急にまじめな顔をして『そう思ってもいい?』と。その日、彼は初めて私の部屋に泊まっていきました」
そこからふたりは毎日のように連絡をとりあう関係になった。週に1、2度、彼は麻里さんの部屋に泊まっていく。
「彼は実家暮らしで、都内だけど会社から遠いんです。だから遅くなったらいつでも泊まってと私から言いました。私は週末休みだけど、彼はシフト制で必ずしも週末が休みではないんです。それでもお互いに時間をやりくりして、よく会っていました。
半年ほど経ったころ、彼が『麻里と結婚したい』と言ってくれて。ただ、私は前の恋愛のショックから本当に立ち直ったかどうか自分でもわからないところがあったので、あと半年くらいこのままつきあっていたいと言いました。彼もわかってくれた」
つきあって1年たったとき、彼は麻里さんの実家へ挨拶に行こうと促すようになった。そのころには彼女も彼に全幅の信頼を置くようになっていたという。