「TVer」月間再生数2億回超え!ユーザー層やランキング集計方法など“中の人”にいろいろ聞いてみました
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4コメント4件「TVer」の気になる疑問を直撃
「最新回は『TVer』で無料配信中。マイリスト登録もお願いします」――ドラマやバラエティで、そんなナレーションをよく耳にするようになった。「TVer」とは、テレビ局を横断した番組の無料動画配信サービス。2015年に開始され、2021年10月には月間の動画再生数が初めて2億回を突破。近年急速に浸透していったこの「TVer」というサービスは、一体どのように利用されているのか。番組を配信する・しないの判断は誰が行っているのか。そして番組サイドの「TVer」に対する印象はどのように変わったのか…。「TVer」の“今”や素朴な疑問を、株式会社TVer サービス戦略部 部長の渡辺実氏に直撃した!【写真を見る】「TVer」サービス開始時に集結した各局アナ&マスコット■「TVer」の現在の利用状況は?――「一番多いのはM2・F2層だが、若年層も」渡辺氏:2021年10~12月だと、視聴者層はM2・F2層(35~49歳男性・女性)が一番多く、その次がM1・F1層(20~34歳男性・女性)、M3・F3層(50歳~男性・女性) となっています。いわゆる人口ピラミッドやテレビの視聴者層とは違って、T層(15~19歳男性・女性)やF1層も多いというのが特徴ですね。利用時間や曜日の傾向として多いのはやはり、ドラマでもバラエティでも番組が配信された直後です。ただ、平均して多いのは週末。好きな番組を一気にご覧になる方もいます。夜7時や8時の“ザ・ゴールデンタイム”の番組を、少し置いて夜11時頃から見られる方も多いです。■番組を「TVer」で配信するかどうかは誰が決める?――「テレビ局が決めるが、オリジナル特集も提案」渡辺氏:基本的にはテレビ局が決めるのが大ルールですが、過去の作品で特集を組むときなどは、こちらから提案することもあります。たとえば2021年の年末にお届けした「呪術廻戦」特集は、局とがっつり組んで実施しました。一方、さまざまな局の番組が混在している特集は、ほぼ「TVer」側から各局に企画を持ち込んで成立しているものですね。番組の配信期間もテレビ局が決めています。われわれとしても配信期間を延長したいのですが、さまざまな権利の問題があり、権利者への使用料の分配をどうしていくかという課題もありまして。ですので、現在2週分配信されている番組は、テレビ局の中で権利関係をクリアにした上で配信されているものです。■テレビ局や番組の「TVer」に対する印象は?――「再生数とマイリスト登録が重視されています」渡辺氏:最近はドラマの予告でも「TVerのマイリスト登録をお願いします」と告知を入れてくださって、感動的です(笑)。それくらい、テレビ局でも再生数などを意識されているんだろうと思います。マイリスト登録の数は、ある意味地上波の視聴率よりもダイレクトに跳ね返ってくるんですよね。視聴者の方にしっかり定着すると言いますか…ドラマはどうしても一度見逃すと「まぁいいか」となりがちですが、「TVer」があれば、放送に間に合わなくても見ていただけて、その次の週の視聴につながったりして。そこは地上波のテレビと「TVer」がWin-Winになれているところだと思います。特集の企画を持ち込んだときの反応も、最近はガラッと変わりましたね。約50番組で始まったサービスですから、最初は「何でそんなに手伝わないといけないの?」という空気でした(笑)。それが今は常時400番組くらいを配信していることもあり、快く協力していただけます。ちなみに、番組サイドはやはり再生数とマイリスト登録の数を基本に見ているようです。データは、われわれサービスの中の人間が見ているデータと同じ、日報のようなものをテレビ局と共有しています。テレビの“視聴率”は、どうしても「何曜の何時に放送された」「裏番組が強かった」といった要素に影響されてしまいます。ですが「TVer」は関係なく、深夜番組でもゴールデンド真ん中の番組でも“よーいどん”で戦える。そこは作り手も出る方も意識されていて、「マイリスト登録が増えればアピールになる」と感じていると思います。ユーザーの方も、「TVerで毎回見ているけど、何曜何時からの番組かは知らない」という方もかなりいるのではないでしょうか。■「TVer」が普及したきっかけは?――「コロナ禍でユーザー増、出演者も意識してくれるように」渡辺氏:やはりコロナ禍だと思います。おうちにいる時間が増えて、普段はいないお父さんが家にいるから、子供がテレビを見られなくてスマホで見る…ということもあったでしょう。この1年2年で急にユーザーの数も増えましたし、何より出演者の皆さんが「TVer」を意識してくださるようになったなと感じます。バラエティ番組なんかでも、芸人さんが「今のは『TVer』のサムネ(サムネイル画像)になる」と発言されていたりしますよね(笑)。また、ある女優さんは「お仕事柄いろいろな番組を見なければいけないけれど、『TVer』なら控室で見られるからすごく便利だ」とおっしゃっていました。■これまでに反響があった特集は?――「過去の名作ドラマと、バラエティの“神回”」渡辺氏:過去のドラマ特集は圧倒的に再生されます。「花より男子」(TBS系)なんかはずっとランキング上位にあって、すごいなぁと感じていました。再生数での反響ではありませんが、2021年の“バラエティ番組の神回”特集も反響がありました。こちらが番組を指定してお願いするのではなく、各局に選んでもらったバラエティの“神回”を配信するというものですね。話題になって、霜降り明星のせいやさんが「これ“神回”行きやん」と番組で言ってくださることもありました(笑)。番組の中で「TVer、TVer」と言ってくださるサービスになったんだなと思うと感慨深いものがあります。サービス開始当初も言ってくださる方はいたのかもしれませんが、「『TVer』って何?」と、カットされていたと思うんです。それが今は制作者側も一緒になって盛り上がってくれる。それが大きいのかなと思います。■「ランキング」の集計方法は?――「直近24時間の再生数を5分おきに集計」渡辺氏:直近24時間の再生数を、リアルタイムで5分置きに集計し直しています。なので常に最新のランキングが表示されています。「TVer」はドラマのイメージが強いと思いますが、厳密に再生数を見てみると、実はドラマもバラエティも半々くらいなんです。1日何十本もあるバラエティに比べると、ドラマは1日に2、3本しかない。母数の違いで再生数がドラマに集中して、ランキングにはドラマが並びやすくなっているんですね。現状だと“バラエティを見ている方も多くいる”ことが伝わりづらい形になってしまっているので、「もっと見せ方があるんじゃないか」という話もしています。たとえばバラエティやアニメなどジャンル別のランキングを設けるなど…いろいろ企んでいますので、ご期待ください。■「TVer」ならではのオススメ機能は?――「倍速再生、シーンシェア機能など、実はいろいろあります」渡辺氏:テレビではできない機能でいうと、倍速再生はかなりの方が使ってくださっているだろうと思います。それから、「ここが面白い」というところからSNSなどでシェアできる機能もそうですね。「昨日はこれくらい使われました」というデータも出ています。ドラマは最初から最後まで通して見る方が多いですが、お笑い番組などは「○○のところが面白かった」と、そのシーンでシェアできるので便利だと思います。このような動画配信サービスならではの機能を取り入れた裏には、検討と戦いの歴史があります(笑)。倍速機能なんて、ドラマの制作陣からすると「この倍速ボタンは何だ」という反発も当然あったと思うんですよ。元々テレビは王様として君臨していた歴史もありますし、“テレビのプライド”もある。実際、私もテレビ局の出身です。ですが、今のユーザーに合わせていかないと。「月曜の夜9時はテレビの前に集まって“月9”を見てください」といくら言っても、もはや限界がある…ということは、テレビ局も理解しています。それこそ、YouTubeに違法アップロード動画があふれていたのは、テレビがネット配信しなかったからですよね。きちんとサービスとして配信すると、そういった動画も減ってくる。テレビとネット、両者の歩み寄りや技術の進歩、権利の問題なども絡み、“こうあるべきだ”という姿もどんどん変わっていると思います。■今後、力を入れていきたいことは?――「ローカル番組が“バズる”お手伝いをしていきたい」渡辺氏:ローカル番組がたくさん見られるというのも「TVer」の魅力の一つ。「TVer」でも配信することで、地方で作られた番組が地元だけでなく首都圏でも多く見られた、ということもしょっちゅう起きています。実際、千鳥さんの「相席食堂」(ABCテレビ)は全国ネットではないですが、全バラエティの中でも再生数は常に上位に入る。今後はそんな地方発の人気番組を増やしていきたいですね。よく「ネットでバズった」なんて言いますが、私どもとしては、ローカルの光る番組が“バズる”お手伝いをしていきたい。東京の番組を一方通行で届けるだけではなく、例えば鹿児島の番組を東京の人が腹を抱えて笑いながら見る、といったことができるのも、ネットの時代ならではだろうなと思います。ちなみに、2月14日(月)から約2週間、「このローカル番組がおもしろい!2022」という特集を作って、私たちがオススメする5番組を紹介しています。ぜひのぞいてみてください。もちろん番組数も、もっともっと増やしていきたいです。例えば、「ラヴィット!」(TBS系)は配信していますが「モーニングショー」(テレビ朝日系)や「スッキリ」(日本テレビ系)はない。では、どうしたら配信できるのか…というところも検討していきます。
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