沿って, smartwatches 27/07/2022

保育・介護・人材で少子化時代にもスクスク成長 「社会の問題解決して、なくてはならない企業に」 ライク・岡本泰彦社長

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社名は「愛される、親しみがあって覚えやすい」ということで選んだという(酒巻俊介撮影)

保育・介護・人材で少子化時代にもスクスク成長 「社会の問題解決して、なくてはならない企業に」 ライク・岡本泰彦社長

【トップ直撃】東証マザーズ市場の新規上場初日に大量誤発注があった「ジェイコムショック」を覚えている人もいるだろう。騒動では思わぬとばっちりを受けたが、いまや社名も新たに、保育や人材、介護事業を手掛ける東証1部企業として押しも押されもせぬ存在だ。利用者の満足度を高め、労働環境の改善を続けることで、少子化の時代でも成長は可能だと自信を見せている。 (中田達也)◇――主力の保育事業の特徴を教えてください「売上高は業界2位です。木のぬくもりや自然を重視して、近隣に公園があるなど環境の良いところに開園しています」――保育の特徴は「お子さんの喜びや親御さんの満足度を重視しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)にも力を入れ、保育士さんの処遇を含めた働きやすい環境作りをしています」――具体的にはどんな取り組みをしていますか「『ナナポケ』というアプリで保育士の労力が大きい連絡帳の記入をできるようにしました。お迎え時間変更などの連絡にも使えます」――働き方については「年齢にとらわれず積極的に抜擢(ばってき)しています。現場感のある人が本社でエリアを統括したり改善を進める総合職保育士や、希望する保育士を研修して若い段階で園長になってもらう仕組みがあります」――認可保育園で収益を上げる策は「この業界では保育士さんの採用コストがすごくかかるので、定着してもらうことが収益につながります。保育士が退職する最大の理由は人間関係なんですね。そこで異動希望を園長経由から、ウェブで直接本社の人事で吸い上げる形に変更したところ、離職率が下がりました。多くの施設を展開しているので異動先を見つけやすいというメリットもあります」――少子化にはどう対応しますか「待機児童問題を解消するためにも積極的に開園してきましたが、場所の選定には徹底してこだわりました。少子化が進んで保育園が淘汰(とうた)されるようになっても勝ち残れると考えています。また、私どもを含め大手のシェアは4%程度なので運営代行やM&A、コンサルティングなどで成長できる可能性は大きいと思います」――人材事業と介護事業も手掛けています「2005年に上場したときは人材ビジネスオンリーでした。介護は10年ぐらい前から大きなテーマでしたが、重篤な状況になると出て行かせる施設ばかりで、自分が納得する施設をやってやろうと考えました」自分が納得する施設を…「100%看取り」も――「看取り介護」まで行うそうですね「24時間ナースを常駐させて、ご本人やご家族が希望される場合は100パーセント看取りをさせていただいています。施設で、ある期間過ごされると自分の家のように愛着がわくので、最後まで過ごしたいというニーズは大きいですね」――コロナ禍でどんな影響が出ていますか「感染者が出て数日休園しているところもありますが、2020年と比較したら休園期間は短くなりました。多施設展開を生かして人員配置も工夫しているため、保育士が出勤できずに休園になるという状況はありません。給食室ではコロナ禍以前から、調理人員が少なくても対応できる『非常時メニュー』を設定していたり、本社勤務の栄養士が調理に行く体制があったりするため、給食を提供することができています」――身近な疑問や問題意識をビジネスに「社会の問題、課題を解決していこうとすることで、世の中になくてはならない企業グループを目指していこうとしています。他社がやらないところをやるというのが一つの企業価値だと思っています」――新たな事業展開はありますか「コロナ前から注力しているのは外国人ですね。特に介護は数十万人単位で人が足りないので、ベトナムなどで介護や日本語の基礎的なことを学んでもらい、スキルチェックやブラッシュアップをします。さらに日本での生活をサポートして、日本っていいよねと思ってもらえるようにしたいですね」とんだとばっちり「ジェイコムショック」と幻の〝初値〟【起業】実家は祖父の代から建築などを手掛ける自営業で、父親が2代目。「家業を継ぐつもりはなかったですね」大学卒業後、地元の広島銀行に就職した。「ずっとサラリーマンをやるつもりはなく、いずれ自分で何か事業をやりたいと考えていました」という。銀行を3年半で辞めて旅行会社へ転職、その5年後に起業した。【携帯電話】会社が急成長するきっかけは携帯電話など通信機器の販売を手掛けたことだった。「大手商社の子会社やメーカーの子会社が良い場所に出店していましたが、店員の経験もやる気も感じられませんでした。われわれは政治力も信用力もなく、店のロケーションも悪かったので、来店したお客さんに契約してもらえるようにスタッフをブラッシュアップしていました」そうして身につけた販売力が奏功する。「私どものスタッフを別の店にご紹介すると、びっくりするぐらいの評価を得るわけです。販売店を一括で業務請負すると売り上げが明らかに伸びたことで、大阪から名古屋や広島に進出し、東京にも出てきました」【ジェイコムショック】2005年12月8日の東証マザーズ上場初日、同社の株式について証券会社が「61万円で1株売り」とすべきところを「1円で61万株売り」と誤発注し、同社株だけでなく相場全体を下落させる騒動があった。何の落ち度もないのにトラブルに巻き込まれた形だ。「上場パーティーも全部中止になりました。大阪に帰る最終の新幹線で、乗客が『ジェイコムショック』と書かれた夕刊フジを読んでいたのを覚えています。誤発注がなければどんな初値がついてその後どうなったのか、経験したかったというのはありますね」【家族】妻と11歳のトイプードル「ショコラ」。「娘は結婚して近くに住んでいます」【ゴルフ】ハンデ5、ベストスコア70の腕前。「ホールインワンは4回やりましたが、1度はホールインワン保険の更新を忘れていて大変でした」新しい道具が出ると必ずチェックする。「使ってみてだめだと思ったものは下取りに出したり、家族がメルカリで出品したりしています」【鬼滅の刃】最近、全作品をスマホで一気読みした。「USJで鬼滅の刃のアトラクションに乗ったことがきっかけです。漫画ってすごいなと思いますね」【健康法】早く寝ること。「銀座や新地には自分からは行きません。会食も1次会だけで帰ります。夜は9時か10時ごろに寝て、朝は5時ぐらいに目が覚めます」【会社メモ】グループ企業のライクキッズ・ライクアカデミーで認可保育園「にじいろ保育園」など保育事業のほか、人材、介護事業を手掛ける。本社・東京。1993年パワーズインターナショナル設立、96年ジェイコムに商号変更、2005年12月東証マザーズ上場、07年東証1部に市場変更。09年持ち株会社化し、ジェイコムホールディングスに。16年現社名に変更。21年5月期の連結売上高542億円、最終利益32億円。連結従業員数7537人(21年11月時点)。■岡本泰彦(おかもと・やすひこ) 1961年4月生まれ、60歳。広島県福山市出身。関西学院大学法学部卒業後の85年4月広島銀行入行。88年旅行会社に転職、93年パワーズインターナショナル(現ライク)を設立する。

最終更新:夕刊フジ