沿って, smartwatches 18/08/2022

Engadget Logo エンガジェット日本版 Sprint売却「投資成績は3倍」、ソフトバンクG孫正義氏がアピール

米携帯会社Sprintの売却に目処をつけたソフトバンクグループ(SBG)。同社を率いる孫正義代表は決算説明会にて「戦略的持ち株会社としては成功」とSprint投資の結果をアピールしました。ソフトバンクは2013年にSprintを買収して以来、経営の改善に取り組んできましたが、その結果は携帯電話ユーザーのシェアで3位から4位へ転落するなど、上手くいったとは言いがたい内容です。孫氏は「そもそも参入時からの基本戦略は、3位のSprintと4位のT-mobileを買収させて上位のAT&T・Verizonとの『三国志』に持ち込むこと。社内では『合併が完了しないなら参入するつもりはない』と言ってきた」と弁解しました。

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一方で、孫氏は「ソフトバンクグループは戦略的持ち株会社だ」として、Sprint買収を"投資"として見ると、ソフトバンクにとっては大きな利益を生んでいると説明します。ソフトバンクがSprint買収時に費やした金額は2.1兆円。ただし同社が拠出した手元資金は0.4兆円にとどまり、残りはすべて借入金でまかなっています。Sprint買収が成立し借入金を返済した場合、同社が得られるSprint株の価値は1.3兆となる見込み。孫氏は「戦略的持ち株会社としてSprint投資の実績をみると、0.4兆円の手元資金で1.3兆円を得ている」と語ります。Sprintへの投資の総括として孫氏は「非常に苦しみはたくさんあった。多くの時間と労力を撮られた。危険な道のりであった」とふり返りつつ、「株主価値では3倍のリターン。海外投資で多くの日本企業が失敗するなか、1兆円という額のリターンを得られるのは悪くないのでは」とアピールしました。

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また、売却によりSprintが抱えていた有利子負債がソフトバンクGの連結決算から外れることになります。この負債について孫氏は「返済義務は一度も背負ってなかった。 会計上は連結バランスシートで借り入れとして経常していたが、実態としては我々の借り入れでは一度もなかった」としています。ちなみに孫氏によると、この「有利子負債の切り離し」は、昨年2018年に上場した通信子会社ソフトバンク株式会社(SBKK)にも当てはまることで、SBKKの借入金はすべてSBKKの自己資本で返済できる範囲での借り入れとしており、もしSBKKが経営難に陥ったとしても、同社を切り離せばソフトバンクグループの有利子負債は減少する、と説明します。

孫氏は「ことほどさように積極的に打って出るのに、借り入れを積極的に活用している。失敗すると借り入れに苦しむことになる。 一般的に『危なっかしい経営だ、いつ潰れてもおかしくない』と言われるが、それは失敗した場合。成功すれば借入金をテコに大きな収益を得られる」と語りました。なお、Sprintの売却後もソフトバンクは合併後の新会社(T-mobile)の株式を27.4%保有することになっています。売却後の米携帯事業について孫氏は「我々にとってのアリババと同じような存在になってくると思う。我々はアリババの経営をコントロールしているわけでもないが、アリババ株を持っていることは、中国の投資でポジティブな影響を与える、中国事業の中核として役に立っている。(新生T-Mobile株もアリババのように米市場での投資の影響を与えるが)そのどのぐらい重要度がいつまで続くのか、我々の資金需要やポジティブに与える影響とバランスを取りつつ、保有していくことになる」と説明。"Sprintとのシナジー"としては、1億人のユーザーを抱える新生T-Mobileユーザーに向けて、ソフトバンクが投資するUberやドアダッシュといった企業のサービスを提供していく可能性を語っています。今後のソフトバンクグループは投資会社として性格を強め、SBKKやソフトバンク・ビジョン・ファンドを中心としたテクノロジー企業への投資を展開。新たにソフトバンク・ビジョン・ファンド2を設立することも発表しています。

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