受験をあきらめないで!共通テスト出願間近!受験料が苦しい家庭は秋の貸付と春の給付型奨学金で返済を
1.共通テスト受験料1.8万円が払えず受験断念する若者を菅政権は置き去りか?
共通テストの受験案内配布が9月1日より開始されました。
出願は9月27日~10月7日、ここで受験料1.8万円(2教科以下は1.2万円)が払えないと、共通テストを諦めなければならない受験生が発生します。
学習支援団体キッズドアの調査では、すでに昨年、1.8万円の受験料が払えずに、共通テスト利用の入試を断念した受験生が発生しています。
※竹下郁子,7割が1校のみ受験、共通テスト代を払えず諦めた学生も。コロナ禍の困窮家庭、大学受験のリアル,2021年4月13日,Business Insider Japan記事
こうした深刻な受験生の実態をふまえ私も2021年4月20日の文部科学省・大学入試のあり方に関する検討会議において、低所得世帯への共通テスト無償化の要望をしています。
しかし、菅政権・文部科学省での対応はされていません。
くわしくは後述しますが、いまの国の支援制度では、高等教育の無償化(高等教育の修学新支援制度)が妨げになって大学・専修学校受験料を支援できないのです。
いま私も、使えるあらゆるルートを使って与党議員に緊急対応をお願いしていますが、政府による対応の情報は現時点ではありません。
都道府県が支援をすれば良いのですが、東京都以外の都道府県では大学・専修学校の受験生への支援はありません。
東京都在住者の低所得世帯の受験生のみなさんは、いますぐ、東京都チャレンジ支援貸し付け制度を利用してください。
受験料や通塾費用の貸付制度ですが、頑張れば不合格でも返済不要の、事実上の給付制度になります。
もちろん不正利用は絶対にやめましょう。
低所得世帯以外にもコロナでの減収世帯も対象になっています。
お申込みは東京都下の各市町村の社会福祉協議会になります。
2.共通テスト受験料が苦しい家庭は秋の公的貸付と春の給付型奨学金で返済を!
では東京都以外の大学・専修学校受験生はどうすればよいのでしょうか?
簡単にまとめると3つのステップで乗り切ることができます。
1.秋に政策金融公庫・ろうきん(中央労働金庫)のローンで受験費用を借りる
2.2022年4月に進学先で高等教育の無償化(高等教育の修学支援新制度)に申し込む
3.高等教育の無償化の給付型奨学金から受験費用ローンを返済する
実は社会福祉協議会の教育支援資金貸付は受験料に対応していないという大問題があります。
ただし授業料の支援や、進学時の入学金支援は受けられますし、家計の苦しい状況が続くようなら返済猶予もされますので、受験料以外については積極的に利用を検討してください。
受験費用については、政策金融公庫のローン、ろうきん(中央労働金庫)のローンの申し込みが可能です。
2つの機関ともに電話やオンラインで相談ができます。
(受験料で利用できる貸付制度については、文部科学省よりの情報提供に感謝いたします。)
また、事業主等で地域の信用金庫とのつながりがある場合には、信用金庫の担当者に相談も可能です。
私の教え子も信用金庫に勤務している人がいますが、地域の困りごとを少しでもなんとかしたいという思いは強く、受験費用についてもローン対応している信用金庫も多いそうです。
保護者の方も落ち着かない中ではありますが、早めの相談が重要です。
金融機関への相談によって具体的な手続きや審査基準についても教えていただけますし、すでに社会福祉協議会の貸し付け等を受けている場合にも、相談に乗ってもらえます。
受験費用の貸付は、金融機関にとってはそれほどメリットはありません。
それでも貸付に取り組む政策金融公庫、ろうきん(中央労働金庫)、信用金庫は、貸付という形ではあるが、受験生を応援したいという気持ちを持っているのです。
またもしも高校にスクールソーシャルワーカーがおられる場合には、スクールソーシャルワーカーに相談すると手続きの支援が受けられます。
3.高等教育の無償化(高等教育の修学支援新制度)の利用法
さて、低所得世帯は、秋に受験費用の貸し付けを受け、春の高等教育の無償化(高等教育の修学支援新制度)で返済するという作戦を示しました。
ここで重要になるのが、高等教育の無償化(高等教育の修学支援新制度)の利用法です。
低所得世帯の学生向けに、給付型奨学金と授業料免除を組み合わせた制度です。
利用者は27.1万人にものぼります。
なお高等教育の無償化は、高校在学中に申し込む予約採用分は夏までに締め切られています。
しかし大学・専修学校進学後の2022年4月にも申し込めます。
利用法を書いておきます。
1.文部科学省HPより、進学を希望する大学・専修学校が高等教育の無償化(高等教育の修学支援新制度)の対象になっているかを確認。
※無償化の対象にならない大学・専修学校が一部あります。
2.日本学生支援機構の進学資金シミュレーターから、保護者・家族の所得等を入力し、教育の無償化(高等教育の修学支援新制度)を受けられるか確認しましょう。
※文部科学省は、家計急変や家族からの経済的虐待等でも制度利用できる方針を示しています。
※進学先の大学・専修学校等で相談し、担当者が詳しくないようなら文部科学省・日本学生支援機構に問い合わせてもらいましょう。
3.進学する大学・専修学校が3月に決まったら、学生課等の担当窓口にすぐに申し込みの方法を聞きに行き、オンライン申し込みの方法を教わりましょう。メールや電話でもかまいません。〆切は4月です、絶対に忘れないようにしましょう。
4.菅総理・都道府県知事・市町村長のみなさん、受験生の支援をお願いします!
ここまで読んでこられたみなさんは、なぜ苦労しながら頑張ってきた若者がここまで大変な目にあわなくてはならないのか、と思われませんか?
実は大学・専修学校の受験料は、高校無償化と大学無償化の2つの制度の「裂け目」なのです。
高校無償化はすべての高校生が進学するわけではないので、大学等受験料の支援はできません。
大学無償化には実は受験料・入学金も含まれているのですが、進学先の大学・専修学校でしか申し込めないので、受験時にはお金が受験生の手元には渡せないのです。
この「裂け目」をなくそうと、文科省も私も心ある与野党議員も一生懸命頑張ってきましたが、財務省の返事では、どうしてもダメなのだそうです。
だからこそ、政治のリーダーの決断や、自治体の応援が必要なのです。
菅総理・都道府県知事・市町村長のみなさん、受験生の支援をお願いします!
若者が夢をあきらめる日本でいいのでしょうか?
とくに東京都以外の46府県知事は、受験料・通塾代支援の東京都チャレンジ支援貸付制度と同等の支援制度をすぐに創設してください!
また入学金の納入期限も2月・3月であり高等教育の無償化の給付型奨学金が振り込まれる入学後の4月5月には間に合いません。
国・地方は入学金の貸し付けなどの支援制度をお願いいたします。
また大学も、生活保護世帯や住民税非課税世帯の受験生の入学期限を猶予したり免除する制度の充実をお願い申し上げます。
5.保護者のみなさん、勇気をもってお子さんに家計のことを話しましょう
最後に、この記事を読んでおられる保護者も多いと思います。
教育費問題を専門としてきた研究者として心からお願いしたいことが1つあります。
保護者のみなさん、勇気をもってお子さんに家計のことを話してください。
親として恥ずかしい、情けないという気持ちが、事態を深刻化させます。
親御さんが家計の苦しさを大学生のお子さんに知らせずに、手遅れになってしまった残念な例に私も出会ってきました。
高校生・大学生はもう大人の判断力を持っています。
親御さんが率直に家計のことを話すことで、高校生・大学生が自分もなんとかしようという気持ちをもって頑張ることができるのです。
いっぽうで、低所得世帯からも大学に進学し、進路を切り開く大学生も多いのです。
こうした家庭では、親御さんが家計のことを子どもに相談し、親子で作戦をたて、大学・専修学校の卒業までを乗り切って、卒業後の就職等につながっているのです。
最後に、受験生のみなさん、受験を、学びをあきらめないでください!
あなたが進学をしたい場で学べるよう、受験料や入学金で苦しまなくてすむよう、私も絶対にあきらめず頑張ります!
※大学・専修学校在学生のみなさんこちらの記事も参考にしてください。
【退学しないで!】世帯収入・バイト激減!大学生・専門学校生がいま利用できる支援制度【学費・授業料】(2020年4月23日)