Microsoft、新しい教育向けOS「Windows 11 SE」を発表 - 窓の杜
米Microsoftは10月9日(現地時間)、新しい教育向けOS「Windows 11 SE」を発表した。「Windows 11」を米国の「K-8」グレード(日本における小学1年生からから中学校2年生に相当)向けにカスタマイズしたもので、同社の「Surface Laptop SE」などの低価格デバイスにプリインストールされる。
「Windows 11 SE」は「Chrome OS」と似たようなコンセプトを持ち、利用できるアプリは基本的に「Microsoft Edge」で動作するWebアプリのみだ。大きな違いはオフライン利用もある程度考慮されていることで、これは米国にはWi-Fi環境のない家庭が少なからず存在するためだという。「Windows 11 SE」には「Word」や「Excel」などの「Microsoft 365」アプリがバンドルされており、インターネット環境のない家庭でも課題を進められる。
「Windows 11 SE」には「Microsoft Store」が搭載されておらず、ユーザーはアプリを自由にインストールすることもできない。「Windows 11 SE」がインストールされたデバイスは「Intune for Education」や「Windows Autopilot」といったツールで集中管理することが前提となっており、IT管理者に限り、必要な教育向けWin32アプリやUWPアプリをインストールできる。
すでにWindows向け教育ソリューションを利用しているならば、それを組み込むこともできるだろう。必要であれば「Zoom」を「Intune for Education」でプロビジョニング(利用できるように準備)するといったことも可能。生徒がデバイスを紛失した場合は、データをリモートワイプ(遠隔消去)することもできる。
OSがロックダウンされており、アプリを自由にインストールできない点は「S モード」を想起させるが、「Windows 11 SE」はそれにとどまらず、スペックを抑えた低価格でも快適に利用できるようにカスタマイズされているのが特徴といえる。フットプリントは通常のWindows 11よりも小さく、より高速に動作するという。
一方で、機能制限もいくつかある。アプリは基本的に全画面表示で動作し、同時に実行可能なアプリは2つまでだ。「Windows 11」のスナップレイアウトも、これに合わせて2つのウィンドウを横並びにするレイアウトのみに削減されている。
また、ファイルはクラウドストレージ「OneDrive」に保存することが前提となっており、「エクスプローラー」には「PC」アイコンがない。ローカルドライブへ自由にフォルダーを作成し、ファイルを保存するといった使い方は想定されておらず、ファイルはすべて「OneDrive」とミラーリングして使うことになる。「OneDrive」以外のクラウドストレージへの対応は、今後のバージョンで検討するとのこと。
Windows 10、Windows 11、Windows 11 SEの機能比較「Windows 11 SE」デバイスは、同日より中国を除く全世界で販売が開始される(中国が対象外となっているのは、クラウドストレージと管理に政府が特別な要件を課しているため)。「Surface Laptop SE」以外にも、各社から「Windows 11 SE」搭載デバイスが発売されるはずだ。
各社から「Windows 11 SE」搭載デバイスが発売される予定ただし、対象となるのはクラウドベースのID管理とセキュリティを利用する教育機関向けで、個人が入手することは難しいだろう。アプリを自由にインストールできないため、個人での利用にも向かない。また、プリインストールされた「Windows 11 SE」は他のエディションに変更することもできない。ハードウェア要件は通常のWindows 11と同じなので、「Windows 11 SE」デバイスに他のエディションのWindows 10/11をインストールすることはできるが、「Windows 11 SE」に戻すことはできなくなる。
ちなみに、同社によると「SE」とは「Student Edition」などの略語ではなく、「Home」や「Pro」といった他のWindows 11エディションと明確に区別するためにつけられた名前だとのこと。