沿って, smartwatches 28/06/2022

コロナ禍なのにオンライン授業が浸透しない訳とは?教員、保護者、生徒も後ろ向きな回答

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教育現場でもメールやチャットの活用が進む

写真:東洋経済education × ICT

東洋経済新報社では、GIGAスクール構想やICT教育に対する現場のリアルな声を理解するため、2020年5月、12月、21年6月とこれまで全国600名の小・中・高の教員に向けた独自アンケートを実施してきた。その第4弾となるアンケートを21年12月に実施。さらに今回は、小・中・高の600 名の児童・生徒とその保護者にもオンライン授業やICT教育に関する調査を行った。リアルな声から何が見えてくるだろうか。教員に600名、保護者600名、生徒600名それぞれに聞いたICTやオンライン授業に関する調査データを見るまずはIT環境の整備状況に関して確認してみよう。教員を対象に勤務する教育現場のIT環境の状況を聞いた設問では、パソコンやタブレットのデバイスやWi-Fiといったネットワーク環境が整ったことはもちろん、実際に運用が広がっていることがわかる。前回の2021年6月の調査では、IT環境が整備され「連絡はビジネスメールアドレス、チャットなどでやりとりをしている」という回答が34.5%だったが、最新調査では41%まで上昇。「IT環境についてすべて整備されており、今後のプログラミング研修などにもすべて対応」との回答と合わせると前回の39%から47.7%まで数値を伸ばした。ちなみに、「IT環境について整備されていない」「あまり整備されていない」とした回答は初回調査の20年5月には32.8%もあったが、最新調査では14.8%にまで減少している。

オンライン授業、実施後に継続しない傾向

IT環境が整った一方で、オンライン授業になると実施状況は広がっていない。前回調査では、「オンライン授業を実施したことはないが、検討している」が46.5%と最も多かったが、最新調査では31.7%に減少。代わって「オンライン授業をしたことがあるが、現在はしていない」が前回では16.8%であったのに対し、今回は33.8%と最も多い回答になっている。コロナ禍などの影響により、一度はオンライン授業を行ったものの継続してオンライン授業には取り組んでいない傾向が見てとれる。21年12月時点での調査のため、その時点では学校は感染状況が落ち着いていたことから、「オンライン授業をしたことがあるが、現在はしていない」の回答が多かった要因ともいえる。今回オンライン授業を経験した教員に不満やストレスを感じた内容を聞いた設問では、「コミュニケーションがうまくとれない」45.2%の回答が最も多く、「生徒が寝ている・内職などで聞いているかどうかよくわからない」31.0%の回答も多かった。オンラインでは、双方向のやり取りができない点に不満やストレスがかかっていることがわかる。もちろん、機器の操作やインターネット回線にまつわる不満や不慣れさも課題としてある。「教員側、生徒側のインターネット回線が不満である」とした回答は32.2%、「機器をうまく操作できず、円滑に進まない」も31.8%に上った。上記のような結果とも連動し、「オンライン授業の今後の意向」を聞いた設問では、あまり積極的な姿勢は見られない。教員における「オンライン授業はやりたくない」との回答は31.7%となり、「オンライン授業はなるべくやりたくないが場合によって行う」は47.3%にもなる。オンライン授業を未だにしたことがない割合が半数以上おり、またオンライン授業はやりたくない、なるべくやりたくないと回答した割合が約7割と、全体的に後ろ向きな傾向がみられる。あくまでもオンライン授業はコロナ禍などリアルでの授業が実施できない不測の事態のためのものと認識されているようだ。22年1月からオミクロン株の新型コロナウイルス感染数は急激に増加し、現在学校における感染も増えている。オンライン授業を実施しなければならない局面があるかもしれないが、そのときうまく実施できるのだろうか。各学校のITの環境は以前と比べ整いつつあるが学校の方針や教員のスキルはどうか。普段からオンライン授業への前向きな意識や取り組みがあるか否かで、こうした局面の際に真価が問われることになるだろう。

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最終更新:東洋経済education×ICT