「PET検査」ってどんな検査なの? 受けるとどんなことが分かるの?(Medical DOC) - Yahoo!ニュース
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5コメント5件「PET検査」ってどんな検査なの? 受けるとどんなことが分かるの?
日本人の三大死因の1つである「がん(悪性腫瘍)」。このがんを診断するために活用されている検査方法が「PET検査」です。近年、急速に普及した検査方法なので、聞いたことはあっても、詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。今回は、PET検査で検査薬の注射や検査後の状態観察などに関わっていた「看護師」の繁さんに解説していただきました。[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
繁 和泉さん(看護師)
【この記事の監修看護師】繁 和泉さん(看護師)看護学校を卒業後、整形外科、消化器科、呼吸器科、小児科、手術室勤務を経験し、外来診療補助の一環として、放射線科の業務に従事する際はがん検査のPET検査などにも関わり、現在17年目。2児の子どもを出産後、看護師としての勤務をセーブしながら、ライターとしての活動を開始する。自身の経験から少しでもわかりやすく、日常生活に役立てられるような医療系記事を主軸とし、さまざまな分野で情報発信をしている。
PET検査は、がん細胞の有無を調べる検査
編集部:そもそも、PET検査は何を調べる検査なのでしょうか?繁さん:PETとは「陽電子放出断層撮影法(Positron Emission Tomography)」の略称で、がん細胞の有無を調べる検査になります。がん細胞の性質に着目し、その特性を利用してがんを発見します。また、がん細胞の有無だけではなく、その大きさや悪性・良性の判定も可能です。加えて、臓器ごとではなく全身のがんを一度に調べることができるため、転移の有無や抗がん剤の治療効果判定を可能にし、がん診療を支える主要な検査の1つになります。編集部:CTやMRIとは何が違うのでしょうか?繁さん:撮影する対象と目的が異なり、PET検査は生体機能の動きを撮影(細胞代謝の状態を撮影する)するのに対し、CTやMRIは体の構造(解剖学的な形態)を撮影します。また、CTはX線、MRIは磁石と電磁場を用いて体内を断面的に撮影するのに対し、PET検査はPETカメラという装置で体内からの放射線を画像化します。なお、最近では「PET-CT検査」や「PET-MRI検査」といった、それぞれの機能が追加された検査もあるので、機能学的診断と解剖学的診断が一度にできるようになり、PET検査単体よりもさらに細かく正確な情報を得られるようになりました。編集部:PET検査では、どのようにしてがんを見つけるのでしょうか?繁さん:PET検査は、がん細胞が増殖する時に取り込まれるブドウ糖の量に着目した検査です。ブドウ糖に微量の陽電子を放出する放射性物質を含有させたものを、体内に注入し検査します。細胞代謝が活発ながん細胞は、周囲の正常な細胞に比べるとブドウ糖を3~8倍多く取り込む特徴があります。がん細胞に集積されたブドウ糖が多く集まる部位を画像から特定し、がん細胞を診ていきます。編集部:検査で見つからないがんはありますか?繁さん:もちろん、PET検査で全てのがんが発見できるというわけではありません。脳や肝臓など正常でもブドウ糖の取り込みが活発な臓器や、腎臓や膀胱などの排泄に関わる臓器は、ほかの臓器と比較すると発見率がやや低下します。また、初期の小さいがんや呼吸性移動のがんなども、画像の判別がとても難しいと言われています。しかし、CTやMRI、エコー検査など、従来の検査を追加することで、診断の正確性を上げることは可能です。編集部:PET検査で、がん以外にもわかる病気はありますか?繁さん:PET検査は、脳や心臓などの病気の診断にも有効です。ブドウ糖以外に同じ放射性物質を含有させた検査薬を用いることで、その臓器や細胞組織の特性に合わせた画像を検出することが可能です。脳腫瘍や心臓の肉芽腫、脳梗塞や心筋梗塞の早期発見に役立ちます。
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