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コロナ禍の飲食店に必要なのは味を伝える言葉(産経新聞) - Yahoo!ニュース

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飲食店経営者向けの勉強会で、売り上げアップの秘訣を語る川村道宏さん=7日、大阪市北区の北区民センター(南雲都撮影)

コロナ禍の飲食店に必要なのは味を伝える言葉(産経新聞) - Yahoo!ニュース

飲食業の酸いも甘いも知り尽くす男性が、新型コロナウイルス禍にあえぐ業界向けに売り上げアップのコツを授けている。人気の焼き鳥店を経営後、念願がかなって日本料理店を開くも借金苦で廃業に。娘の大事なゲーム機を売り払い、頭によぎった自殺を思いとどまって再起を懸けた店を軌道に乗せた。男性は自身の経験を基に、業界ならではの「思い込み」を払拭するのが大事と説く。飲食店コンサルタントの川村道宏さん(51)。15歳で調理師専門学校へ入り、就職先の日本料理店で修業を積んだ。平成17年4月、居抜き物件を利用し、大阪市内で焼き鳥店をオープン。串に刺さず火であぶるスタイルが人気を集め、雑誌やテレビで頻繁に取り上げられた。経営は素人だが、「自分に才覚があると勘違いしてしまった」。焼き鳥店を手放し、20年の誕生日に満を持して日本料理店を開いた。場所は大阪・天満。自分一人で切り盛りできるカウンターのみ6席の店だ。「考え得る最高の食材をそろえ、万全の態勢で開店した」(川村さん)というが、客足が伸びない。数万円かけて仕入れた高級食材を誰にも提供しないまま処分する日々が続いた。「自分の味を分かってもらえないのか」-。余裕のなさは接客態度にも表れ、横柄な振る舞いを客から注意されることも。悪循環に陥った。■5年で借金完済経営に行き詰まり、借金を重ねた。売れるものは何でも現金に換えた。娘が小遣いをためて買った「ニンテンドーDS」はソフトを合わせて3千円になった。開店から3年。月額10万5千円の家賃が支払えず、店を失った。残った借金は1500万円。ある夜、大阪・梅田のビル屋上から身を投げようとしたが、足がすくんでその場に立てなかった。死にきれない自分がみじめで仕方なかったが、どん底を味わった分、「一度死んだつもりでがんばってみよう」とも思えた。新たに開こうと考えている店で使える金券を知人らに購入してもらい、初期費用と当面の運転資金をかき集めた。何とかして23年5月に再び日本料理店を開いた。どうすれば客がつくのか、試行錯誤を繰り返した。たどり着いた一つの答えが言葉を尽くすこと。いくら魅力的な料理でも「食べてもらえれば分かる」と大上段に構えていては、客足が遠のいてしまう。得てして個人店主は腕に自信があるためか、アピールが苦手で商機を逸しているケースが多い、と川村さんはみている。自身も「店を知ってもらわないと存在しないのと同じ」と、パソコンに挑戦。タイピングすらままならなかったが、ツイッターやフェイスブックなどのSNS(会員制交流サイト)を活用し、情報発信に努めた。ほかにも客の満足度を高めるために店を紹介制にしたり、コースのみの提供にしたり…。結果的にこだわりの食材は無駄にならず、客単価も上がった。最盛期で売り上げは開店当初の7倍に。借金は5年で完済した。■店主からサポート役にその後も順調だったが、コロナの波が押し寄せた。営業自粛を余儀なくされるなど飲食業界が厳しい環境に置かれる中、川村さんは自身の店をいったん閉め、サポートする側に回った。営業できる時間が短くなっても休まなければ店は開く-。限られた時間にいかに多くの客に来店してもらうかが重要なのだという。「料理の魅力が伝わるような言葉を選びましょう」2月上旬、川村さんは売り上げに悩む飲食店を対象に大阪市内で無料の勉強会を主催した。集客ビラの文面を添削したり、直接連絡できる顧客リストを作成する必要性を説いたりした。こうした勉強会を月に1回程度開いているという。聴講者の一人で、同市中央区で飲食店を営む男性(40)は「コロナで売り上げは減るが、こうして学ぶことで焦らずに進んでいる実感がある」と話した。川村さんはこうも言う。「料理の味は良くて当たり前。自分の店の売りを自分の言葉で伝えてこそ、お客さんに来たいと思ってもらえる」(小泉一敏)

最終更新:産経新聞