沿って, smartwatches 22/03/2023

『龍が如く7』発売記念インタビュー後編! 序盤の金稼ぎ手段はパチスロをはじめ多種多様!!【電撃PS】

 “龍が如くスタジオ”の挑戦がいたる部分に詰まったナンバリング最新作『龍が如く7 光と闇の行方』。どんなゲームになり、どんな部分が魅力なのかは公開中の先行インプレッションでお伝えしてきました。

<先行インプレッションの記事はコチラ>◆『龍が如く7』先行インプレッション第1回。RPG要素を発売前に語ります◆『龍が如く7』先行インプレッション第2回。プレイスポットを発売前に語ります◆『龍が如く7』先行インプレッション第3回。ドラマ要素を発売前に語ります

 電撃PSでは発売記念企画として、『龍が如く7』の開発を手掛けたチーフプロデューサーの横山昌義氏、プロデューサーの阪本寛之氏、ディレクターの堀井亮佑氏たち3人にインタビューを敢行。公開中の前編に続き、後編をお届けします。

プレイスタイルは無限大!! 自分だけの冒険譚

――経験値やお金の稼ぎ方は、プレイヤーごとに傾向も変わってきそうですね。

堀井亮佑氏(以下敬称略):人によって、ぜんぜん違うと思いますよ。

――初プレイのときは、一発狙いの自販機"いいものサーチ"でしたね。金の皿が出たときの興奮たるや(笑)。

横山昌義氏(以下敬称略):金の皿が出たときの脳汁の出方がやばいですよね。

阪本寛之氏(以下敬称略):じつは、(最初のエリアである職安街から)遠いところの自販機のほうがいいものが出るんですよ。

横山:僕は第一章で4日間パチスロ屋から出ないでプレイしていました。このゲームの何がスゴイかというと、18年間“貯メダル”してくれるんですよ(笑)。荒川の親っさんと北京ダックを食べに行く前に、「親っさん、ちょっと待っていてください」と思いながら、死ぬ気でザコと戦って3000円ためてセーブ。

 それを軍資金に、とにかく『アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.-』で1発当てるまでセーブ&ロードを繰り返しました。そうそう当たりは引けないんですけれど、何度も繰り返していました。メダルが500枚まできたら再度セーブして、さらに“GOD”の役を引けると5000枚……10万円分くらいたまります。僕はこれで15000枚ためました(笑)。

 パチスロ屋のエスパス日拓の景品に、攻撃力の基礎値を上げるアタック・アッパーがあるのですが、それを5本買うんです。それを使うと攻撃力の基礎値が25上昇するので、レベルが一気に上がったのと同じような状態になります。これで第二章くらいの敵は、ほとんどワンパンで倒すことができるようなりますよ(笑)。

――それは苦労が報われますね!

横山:また、残ったメダルで、さらに20万円分の10000枚を貯メダルしておいて刑務所に行きました。当然、第三章で伊勢佐木異人町に来たら、貯メダルを取りに行きたい。でも、パチスロ屋のPIAに行くまでがまあ地獄で(笑)。初期レベルで、伊勢佐木ロードに入ると敵が強すぎるんですよ。

 で、必死に貯メダルをプラチナの皿にすると、今度はそれを売りに質屋に行く必要があるんです。ただ、質屋を利用するには、サブストーリーで敵を倒す必要があってこれも命がけの戦いで大変なんです。こういう遊び方も、RPGのだいご味です。

――アクションだと敵を倒すしかないですが、「そんな遊び方あるの!?」みたいな抜け道があるのもRPGらしさですよね。

横山:『龍が如く7』のパチスロ屋が、『ドラゴンクエスト』におけるカジノのような存在なんです。僕は、カジノを見つけたらはぐれメタルの剣を手に入れるまでカジノに入り浸る人間だったんですよ。セロハンテープで方向キーの下を固定して、自動でスロットを回し続けるようにして寝る……みたいな。

――自分もそれやります(笑)。

横山:今回のパチスロも、そうやって遊んでほしいんです。“現代劇でRPGをやったらこうなる”というものを作りたかったんです。

――宝箱が金庫になっているのも然り、いろんなRPGの要素を現代にうまく合わせていると感じます。金庫といえば、中からミミック的な変質者が現れたときは笑いました(笑)。

阪本:横浜の金庫の置き方はこだわりました。浜北公園近くの金庫とかは、見えているのに取りにいけない絶妙な場所に置いたりしています。

堀井:「行きたいけど今は行けない」というのもパーティーを成長させたい欲求につながるので、意図的にいろいろ仕掛けを入れています。もともと『龍が如く』は、アドベンチャーに9割近くの時間を割くことになるゲームです。だからこそ、そこでのプレイスタイルの差だったり、やり込み度だったりがバトルにきっちり影響が出るようにしたいな、と。そこはかなり意識した点ですね。

 横山のように“パチスロだけやって、商品の力でごり押す”という遊び方もあれば、僕のように“カラオケで絆を上げきってから、絆技で全部勝っていく”みたいな戦い方もできる。そういう自由度は絶対に必要だと思っていました。

 今回導入した春日の人間力という要素も、そういった自由度表現の一環です。プレイの仕方によってかなり差が出るようにしています。「俺の春日はこういう性格だから、こうやってクリアしたよ」みたいに、プレイヤーの性格がクリア方法につながると、プレイヤー同士であれこれ語るのがさらに楽しくなるんじゃないかと思いました。

――そうですね。人間力の値は、プレイヤーによって大きく変わってきそうですよね。

横山:違いは出ます。僕はお洒落ばかり上がっていますし。"探索アクション:開拓クラッシュ"という壊れかけの壁を壊すスキルがあるのですが、これがあると闇商人に会えるようになるんですね。そして、これを習得するには、春日の陽気をランク5以上にして解体屋になる必要があります。

 なので、サバイバーの会話イベントで、陽キャっぽい選択肢を選んでいたんですけど、似たニュアンスのお洒落が上がることが多くて。春日は意外と陰キャなのかもしれないですね。そのおかげで中華街の裏カジノはすぐに入れました。

堀井:あそこはドレスコードがあって、お洒落が上がってないと入れませんもんね。ちなみに、お洒落はスカルプDを買えばいくらでも上げられますよ。MAXにするには500本くらい買わないといけませんが(笑)

横山:お金で、お洒落はいくらでも上げられるんです(笑)。

――ある意味リアルです。しかし、飛び出すワードがどれもおもしろすぎです(笑)。

横山:けっきょく、解体屋は大海原資格学校で陽気を上げるまでお預けでした。

――資格学校といえば、あのテストめちゃくちゃ難しいですね?

堀井:本当ですか? よかったです、頑張って問題作った甲斐がありました(笑)。せっかくだからある程度歯ごたえあるものにしたかったんですよね。

――ゲームなんだから、普通の知識があればいけるだろうと思ったらぜんぜんわからなくて(笑)。

阪本:危険物取扱者試験とか、かなり専門的でコアな内容ですからね。

――数学も時間があればわかるのに、制限時間があって困りました。

阪本:数学は「単なるドリルじゃねーか!」みたいな感じですね。最後の問題は、過去問全部から出るので、あそこまでいくと運ですよ。

――過去シリーズもやり込んでいますが、シリーズの知識が問われる裏社会学もかなりむずかしかったです。

堀井:『龍が如く』クイズみたいなものは、いつかやりたいと思っていたネタだったんですよね。今回こういう形で上手いこと入れられてよかったです。

横山:裏社会学は、当然といえば当然ですが、ほとんどいけました。僕的には、さらに上級版がほしいです(笑)。次回作に期待ですね。

――遊びとしては、プレイスポットの会社経営が骨太なシステムになっていてとてもおもしろかったです。かなり大仕掛けのプレイスポットでしたが、これを用意した意図はなんですか?

堀井:“成り上がり”感を出したかった、というのが一番の理由です。本作の開発当初からのゲーム設計コンセプトとして、春日と一緒にプレイヤーが“成り上がり体験”ができるようなものにしたい、というのがあります。じゃあ“成り上がり”を感じられる要素って何? と考えたときに、バトル能力UPや仲間が増える、などはもちろんですが、やっぱり“お金”ははずせない要素じゃないかと。

 ホームレスから社長に上り詰めるって、誰もが納得する“成り上がり”イメージですよね。だから本作にはピッタリの要素かなと思い、入れることにしました。お金はRPGとしても必須の要素ですし、上手く入れたらRPGとして深みも与えられそうでしたから。

阪本:会社経営を進めていくと春日が専用の極技を習得したり、鎌滝えりが仲間になったりと、バトルでかなりの恩恵を受けることができます。鎌滝えりがいるといないでは中盤以降のバトルの難しさが大違いですし、経営ストーリーをクリアしないと得られない極技"サテライトレーザーの極み"はとにかく強い!

――ラクをしたいならば、会社経営をやってみるのもいいですね。

アクションと変わらないテンポのよいバトル

――バトルのシステム部分でも、『龍が如く』らしさを随所に感じました。

横山:バトルは、繰り返し調整した部分でもあります。ジャストガードも、東京ゲームショウ用体験版のあとに足した要素です。これは、東京ゲームショウでプレイ中のファンの方が遊んでいる姿を見たときに、敵から攻撃を受けている最中もボタンを押しているのを何度も見たからです。

 “方向キーを動かして、狙いを定めて○ボタンでパンチを出す”というように、コマンドを選んで攻撃するところまでは意外とアクションと操作自体は変わりません。ですが、敵から瞬間的に身を守る手段がコマンド式のバトルにはないんですよ。今まではスウェイがあったので、みんな×ボタンを押すんですよね。それを見て、ジャストガードは入れたほうがいいなとなりました。

――ジャストガードしないと勝てないというバランスではないですよね。

阪本:もちろん。極技も含めたジャストアクションは、成功すれば得をするぐらいのものなので、あくまでも+α程度のイメージです。ただ、はやり適正レベルよりも下でボスに挑む場合などは、ジャストガードが頼みの綱になったりします。逆に言えば、レベルを上げれば普通に倒せますけどね(笑)。

――やはりレベル補正は大きいのでしょうか?

阪本:大きいですね。「ツラかったらレベルを上げてね」というメッセージで、2~3段階気づかせるポイントは作っています。

堀井:『龍が如く』は成長させないでプレイするというユーザーも少なくないのですが、今作はRPGですから、どこかでちゃんとレベル上げが必要だと感じていただかないといけません。

 なので「こいつはどう考えても強くならないと勝てないな」という敵を、かなりわかりやすく強くして入れています。ただ、レベル上げを延々強いられるのもうちのチームの作品らしくないので、そういうポイントの数は絞ってはいますけどね。

阪本:でも1カ所だけ、完全に春日たちを倒しにきているボスもストーリーで出てきます。明らかにやばいと感じたら、特定の施設をフル活用してレベル上げをしてください(笑)。

横山:「RPGは作業になるからイヤ」という人もいますが、逆に言えばつまらない作業にならなければいいわけです。ではそれをどう作ればいいのかが課題だったのですが、そこはリアルタイムな物理制御による戦況の変化などを取り入れることで、RPG特有の数字遊びとは異なるシステムを作りだすことでうまくいったのではないかと思います。

堀井:攻略の仕方は本当にいろいろあるので、自由にやっていただけたらと。絶対的な攻略方法はないけど、何をやっても攻略はできる。それがこのゲームの最大の魅力であり、面白さですから。

阪本:ストーリーが進むほど、バリエーションや組み合わせがどんどん増えていきます。

――あのムナンチョヘペトナス教を思わせる敵も登場したのには驚きました(笑)。あとはバトルで“障害物があれば蹴り飛ばす”というアクションが自動的に発動するのも特徴ですが、このあたりの仕組みも調整が大変だったのでは?

横山:あれこそ、ドラゴンエンジンの流れを汲むシステムなんですよ。

阪本:できることは、そのままやってみようという形ですね。

横山:ドラゴンエンジンを使うメリットだから、そこはやるべきだなと。

――ドラゴンエンジンでRPGを作るとなった場合に、ここが強みの1つであると考えた結果ということですね。

堀井:従来の培ってきたバトルシステムをどう活かすのかというのは、とにかく一番難しかったポイントです。本当にいろいろ試して、最終的にたどり着いたのが、先ほどの障害物攻撃や“ダウン中の相手への攻撃が会心の一撃になる”という要素でした。

 ただのコマンドバトルではなく、周囲の環境や敵の状況を意識すると、上手いプレイができる。これは、つねにリアルタイムでの喧嘩バトルを作ってきた“龍が如くスタジオ”だからこそ実現できた要素だと思います。

――ちなみに、追撃の発動率は絆レベルで変化するんでしょうか?

堀井:絆が高いほど発生しやすくなりますね。

阪本:あと、スマートに戦うという部分では、方向キーの極技のショートカットはぜひ活用してほしいですね。あれを使うと、バトルが劇的にスムーズになります。

横山:キャラクターごとに設定できるので、方向キーの上は範囲攻撃、下は強力な単体攻撃と決めておくと、使いやすいですよ。

阪本:敵が常に動き続けるので、瞬間的に入力できると攻撃に巻き込める人数も変わりますから。

――たしかに、コマンドを選んでいると範囲から漏れることがありますね。

堀井:それも、コマンド入力だけどリアルタイムに動くという、うちの作品ならではの特徴ですね。ターンは止まっても、時間が止まっているわけではない、という。

阪本:敵がどこにいるかは重要で、敵が狭い歩道に入った瞬間を狙ってエンカウントすれば、範囲攻撃で敵を巻き込みやすいといった小ワザもあります。

――状況を見極めて行動を起こすのは、ほかのコマンド式RPGとは大きく違うポイントですね。

阪本:その“ゆらぎ”は、開発途中段階から絶対おもしろくなると考えていました。

――逆に“ターンが回ってきたキャラクターを操作して移動させられる”という選択肢も、開発当初はあったと思います。これを採用しなかった理由はなんですか?

堀井:もちろん検討はしたんですが、それを入れてしまうと、シミュレーションRPGに寄りすぎて難しくなってしまう問題があって。ゲームがそこまで得意でない人でも楽しく遊べる作品にしたかったので、その案はやめました。

 あと、キャラクターを動かせると、テンポが悪くなって戦闘が間延びしがちという理由もあります。テンポが悪くなると喧嘩っぽさもなくなってしまいますから、うちらしいゲームにならないな、と。

横山:ちょっとした裏話になりますが、極技の攻撃モーションも製品版の2~3倍くらいの長さだったんです。僕らがカッコイイ必殺技を作ろうとすると、いつものヒートアクションになってしまうのですが、ヒートアクションは、じつはかなり演出が長いんです。今までの開発でも、ヒートアクションが長すぎて納品直前に短く調整したりしていました。

 そういう背景もあり、今回はRPGだから意識的に短くしていこうという話はしていたのですが、それでも長いものが多くありまして。ですので、全部のモーションを洗い直して、徹底的に詰めていきました。この作業は、東京ゲームショウが終わってからも続けていました。

 何を目指したかというと、コマンド制のバトルでありながら、これまでのシリーズのエンカウントバトルと同じぐらいの戦闘時間で終わるぐらいのスピード感です。このバトル時間の管理は、かなりシビアでした。今までのシリーズでは、1回のエンカウントで何秒戦うかなんて気にしていませんでしたし、極論で言えば「人によって違うでしょう」と思っていたので。

阪本:スピード感を出すためには、やはりキャラクターの移動に時間を使わせるべきではないんです。移動できるようにすると、敵の吹き飛ばす方向を考えたり、攻撃範囲に収めようとしたりして、狙いにいきますよね。

 “落ちている自転車を拾って、担いで、移動して、殴る”。これだけで、技2つぶんくらいの時間を使ってしまいます。それを敵味方全員がやりだすと、大変な時間になるわけです。それよりも、スムーズにバンバン技の応酬を見られたほうが楽しいと考えたので、移動の自由度は取りませんでした。

――RPGは戦闘を何回も繰り返すことになるので、テンポを重視したということですね。

阪本:そうです。何度も戦うことを重視して、方向を修正しました。

――その代わり、移動などのAI調整が大変そうです。

阪本:大変でしたよ。“ズボンを履いている人はガードレールをまたげるが、スカートをはいているキャラクターはどうするのか?”といった、細かい問題はいろいろあるんですよ。カメラ外のキャラクターならワープしてしまえばいいんですが、画面内にいる状態ではどうするのか……などですね。AI管理の問題は、最後までつきまといました。

――助演女優オーディションでグランプリを受賞した鎌滝えりさんが、パーティキャラクターとして登場します。彼女の戦闘能力は、どんな調整をしていますか?

阪本:ストーリーが進展してから加入するので、加入後すぐに戦力になれるような強さに調整をしています。ハン・ジュンギや趙も同様ですね。

堀井:あとは、なんといっても彼女の専用ジョブ・事務員の範囲攻撃スキル"鋲散の陣"がめちゃくちゃ強いです(笑)。

横山:序盤は、どうやったら効率的に敵を倒せるのか、と範囲攻撃スキルを探すじゃないですか。この範囲攻撃もどれを使うか、人によってぜんぜん違うんですよ。僕は、敏捷力があって手番の早いハン・ジュンギで、悪魔というジョブの"デスシャウト"を使うのが好きですね。

――公式動画"『龍が如く7』発売前に知りたい7つの疑問・中編"で紹介があった、有償DLCジョブですね。

阪本:DLCジョブは男女で1つずつあり、男性がエレキギターを振り回す“悪魔”、女性がナギナタで戦う“姉御”です。

堀井:ただ、結構強めの扱いなので、転職するための条件は少し厳しめにしています。春日の場合は、人間力のメンタルをかなり上げないと転職できません。また、仲間の場合は絆を最大まで上げる必要があります。

『龍が如く7』発売記念インタビュー後編! 序盤の金稼ぎ手段はパチスロをはじめ多種多様!!【電撃PS】

――どちらも相当強いのですか?

横山:"デスシャウト"は、MPを6しか使わないんです。そのぶん威力は低めですが、ハン・ジュンギはステータスが高いので問題なく使える感じですね。ハン・ジュンギ本当に好きですね。

阪本:キャラクターモデルもカッコいいですしね。

横山:ハン・ジュンギをジョブチェンジさせたいときは、キャバクラに連れていくといいですよ(笑)。

阪本:意外と、ハン・ジュンギが好きな女性のタイプは、ほかのキャラクターよりちょっとズレいているよね(笑)。

――そういうところでも個性が出ていておもしろいですね。話が前後しますが、RPG化するなら、ジョブは必ず入れようと思っていたのですか?

横山:それは最初から決めていました。昔から、「『龍が如く』がオンラインゲームになったら、キャバ嬢が僧侶で、ホストが魔法使いだよね」のようなネタは、雑談のなかで出ていたんですよ。ですので、“RPGになったらこうしたい”は、けっこう考えていましたね。

堀井:最初は「50種類くらい作ろう」みたいに話していましたね。

――過去シリーズでは、特殊な条件を満たさないと見られない極技も多かったですが、今回はジョブレベルさえ上げてしまえば大技が見られるのはいいですね。個人的には、料理人の"人間おろしの極み"が予想以上にエグくて好きです(笑)。

堀井:じつは僕もアクションゲームは苦手で、過去シリーズでも"虎落とし"とか、入力が難しい技は全然出せなかった人間なんですよ。だから同じようなコンボやヒートアクションばかりに頼っていたんですが、今回は成長を頑張ればそんな僕みたいな人間でもいろんな技が出せる。だから、アクションが苦手だった人は今まで以上に楽しめると思いますよ。

阪本:過去シリーズではバトルスタイル切り替えとかがありましたが、今回はジョブごとに攻撃モーション、極技、ボイスが違いますから、内部的な技の素材量では今までで一番多いんですよ。

堀井:そのうえ、服装や武器も変えたりできますからね。

横山:本当、RPGは作るのが大変ですよ(笑)。

堀井:ちなみに、皆さんはバトルではどんなパーティで遊ばれましたか?

――入れ替えは適時行いますが、春日が勇者、足立が用心棒、ナンバがホームレス、紗栄子がアイドル、えりが事務員というのが基本でした。

横山:用心棒はあまり使ってこなかったんだけど、強い?

阪本:強いです。特に、最強の武器がものすごく強力なんですよ。

――そうなんですね。あとは足立さんの用心棒姿がかっこいいので使っていました。性能で選ぶのではなく、見た目で選ぶのもアリかなと。

堀井:僕も見た目重視ですね。紗栄子とえりを二人ともナイトクイーンにすると画的にすごく楽しいんで(笑)

――あとは、春日のダンサーもお気に入りです。

阪本:ダンサーは気持ちがいいですよね。

――ボタン連打が快感ですね。

阪本:"ウィンドミル"と"スイープ&スピン"が、属性武器を装備してやると気持ちいいですよ。

――重い一撃と多段攻撃のどっちも気持ちいいので、どのジョブを使っていても楽しいです。

横山:僕は"ハンドバッグウインド"をどこまで強くできるかを突き詰めていましたね。あれは、かなり強くて便利ですよ。そのせいで、紗栄子をチーママから転職できずにいたんですけど、とあるボス戦でアイドルの重要性に気づきました。

阪本:全体HP回復の"マジカルソング"ですね(笑)。

横山:あと、紗栄子は弱体効果も強いんですよね。"あざといポーズ"は虎の攻撃力も下げますからね。虎は、効かない攻撃も多いんですけど、なぜか"あざといポーズ"は効くんです。クレーンにも効きますからね。

――攻撃力ダウンとか防御力ダウンは何にでも効きますね。"クサい息"も効きますし。

横山:クレーンは乗っている奴がいるからですよ、きっと(笑)。

阪本:キャバ嬢も、冷気属性の武器が最強武器なので強いですよ。

――アイドルの武器であるアイスキャンディーも強いですよね。

阪本:それも強いですけど、最強武器じゃないんですよ。本作は、武器の属性と同属性のスキルが強化されるので、そこを意識するとオススメです。ホストとキャバ嬢も、冷気属性のスキルが使えて、武器の冷気属性でブーストかけられるのでかなり強い。ちなみに、料理人とダンサーは熱気属性で、勇者と占い師は電気属性になります。

堀井:特に冷気属性が効く強敵は結構多いですもんね。

――まあ人間はそうですよ。冷たいのは辛いですし。

横山:それを言ったら、熱気も電気もヤバいですよ?(笑)

一同:(笑)

――属性と言えば、看板を体の前後にかけたサンドイッチマンが苦手なんですが、倒しやすい属性ってありますか?

阪本:あれはじつは毒に弱いんですよ。ハン・ジュンギの"ポイズンシュート"でかなりラクになります。じつは、"ポイズンシュート"は単体毒攻撃で最強の技で、体力が多い敵ほどよく効きます。しかも、持ち越しスキルなので、どのジョブでも使えます。

――持ち越しスキルのどれを覚えているかでけっこう違ってきますよね。これを覚えたら転職しよう、みたいな感じで。

阪本:ホストの冷気属性魔法"スプレッドアイス"は持ち越せるうえに範囲攻撃なので、オススメです。

――ほかには、ストリートミュージシャンの継続回復魔法"♪『Endless Love』"や、占い師の蘇生魔法"魂の救済"を覚えておくと、ラクですよね。

阪本:詳しいですね!

堀井:持ち越し技を習得できたり、基礎能力もアップするようになっていたりするので、適度に転職したほうが、効率的にゲームを進められると思います。

横山:解体屋で習得できる"探索アクション:開拓クラッシュ"が、解体屋でしか使えないと勘違いしていました。「ジョブを変えられないじゃないか」と、しばらく解体屋のままでした。フィニッシャーとして、かなり強いのでいいんですが。"カチアゲ砕き"は強いのでオススメです(笑)。

遊んで感じてほしい新たな“龍”の可能性

――序盤のプレイのポイントも人それぞれという感じで、これやるといいですよというのも一概には言えないですね。

横山:僕の場合は、パチスロ4日間で15000枚ですね(笑)。

堀井:サブストーリーをクリアしまくって、安定収入を得るのもいいと思いますよ。報酬のアイテムに入手しにくいアクセサリーとかを多く配置してるので。あと、バイトヒーロー.comのバイトクエストをこなすのもアリですね。「街のカッパを撮ってください」をコンプリートすれば200万円くらいになりますから。めっちゃ難しいですけど(笑)

――浜北公園にある野菜売りのワゴンを見て、「あれ、店員が2人いる?」と近づいてみたらカッパだったときに、「自分にコンプリートは無理だな」と悟りました……。

阪本:そのカッパはまだまだラクなほうですよ(笑)。

――先ほど、DLC用のジョブがあるとお話されていましたが、DLCの具体的な予定をお聞かせください。

堀井:無料で毎週配信させていただくものと、有料のものとがあります。無料配信のものは、過去シリーズの時にも配信したような、お助けセット的なものですね。便利なアイテムや素材と、限定コスチュームなどがセットになってます。

 有料のものは、さきほどの追加ジョブ(悪魔・姉御)が2つ、バトル救済セットやコスチュームセット、ジョブランクアップアイテムなどを予定しています。

横山:有料コスチュームでは、足立が伊達の服を着れたりと、過去キャラの衣装に変えられるセットもあります。有償DLCのうち、ゲーム内で入手できないのはジョブとコスチューム。それ以外はほとんど、ゲーム中でも手に入るものが中心です。

阪本:あとは、パチスロの追加機種『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』『パチスロ猛獣王 王者の咆哮』は、発売当日に無料でダウンロードできます。

堀井:成長アイテムや回復アイテム、素材パックなどは、時間がない人に向けて用意したものなので、それを買わないとゲームクリアが困難になるようなものではありません。購入を前提としたバランス調整にはしていないので、ご安心を。

――最強の武器については、ゲーム内のやり込みで手に入る形ですか?

堀井:そうですね。最強武器は浪漫製作所で作るしかないので、がんばって素材とか、Gとかを集めるしかないです(笑)。

横山:虫系素材が圧倒的にたりないんですよね。Gは浜北公園で集めるしかない?

堀井:コミジュル周りは、Gが出やすいですね。

阪本:それか、サバイバル缶拾いの報酬での交換ですかね。

――サバイバル缶拾いでGの交換は、かなり高かった覚えが……。

阪本:たしか8000ポイントですね(笑)。

横山:初めてGを見たときは、アイコンもモザイクで、なにかのミスかと思ったよ。ちょっと考えてゴ●●リかと納得したけど(笑)。

阪本:武器によっては10匹ぐらい必要になりますよ。

横山:Gが練り込まれた武器っていうのも、なかなかイヤだな。どうやって使ったんでしょうね(苦笑)。

遊んだ人同士が会話して盛り上がれる作品になった!

――いろいろお聞きしましたが、ご自身が担当された部分での見どころはどんな部分になりますか?

阪本:いっぱい手を入れましたが、見どころというとコマンドバトルも含めてシステムが大きく変わったことによる遊びごたえですかね。「これで終わり」というのがないぶん、育成して楽しいゲームになっていると思います。そのチューニングに、今まで以上に力を注ぎましたし、そのぶん苦労しました。

――東京ゲームショウで試遊したときの感触から、ここまで進化していることに驚きました。

阪本:それぐらい変えたんですよ(笑)。あのあとから今に至るまでの作業量は、『龍が如く』史上でも最も過密だったと思います。

堀井:僕の場合は、“如何に『龍が如く』らしさを残したまま、RPGにするか”というところが大命題でした。アドベンチャーをやって、それがRPGの成長につながるといった部分は、とにかく考えて設計しましたね。RPGになったからといって、メイン・サブストーリーといったアドベンチャー部分が変わってしまったら、『龍が如く』感は出ません。

 なので、今までのテイストをちゃんと残しつつ新しい挑戦を成立させる。今回、それが無事に完遂できたかなと感じています。従来通り『龍が如く』らしい遊び方をしていただけたら、春日たちも自然と強くなるように設計していますし、クリアしたときの感想も「『龍が如く』を遊んだな」と思ってもらえるものになっていると自負していますので、安心して遊んでいただけたらと思います。

――サブストーリーも、以前は“真面目な桐生がやるからおもしろい”だったのが、今回は“気さくな春日がやるからおもしろい“というように、別のアプローチの味付けになっていて、すごく楽しめました。個人的には激辛キムチのサブストーリーが好きです(笑)。

阪本:あれは、『龍が如く』の連作サブストーリーのなかでも、一番長い気がします(笑)。

横山:そういえば、あのサブストーリーのイベントで駅内に入るけど、あそこ以外で駅のホームを使うシーンなんてあった?

阪本:あれだけですね。

横山:あの駅のホーム、ものすごくよくできているんですよ。駅の内部までしっかりと作り込んであるんですけど、使われるのはそのサブストーリーだけみたいです。作り込んだけど使わないというのは、“龍が如くスタジオ”あるあるなんですけどね(笑)。

堀井:うちのステージ班はプロ意識が高いので、本来使う予定の無い場所とかも、物凄く作りこんでくれたりしちゃうんですよね(笑)。

阪本:使う予定がないけど、クオリティが高いから、線路をドラゴンカートのコースにしようか、という案もありました。でも「コースにするほどちゃんと作るのは無理」と言われてやめましたけど(笑)

横山:あの駅は今2年目のメンバーが1年目の最初に取り組んだ仕事で、年末の総括プレゼンで「すごくいいのができた」と話していたんですよ。それを聞いて「そんなにいいのか。でも見た覚えがないな…」と思っていたら、今回のサブストーリーで出てきました。

堀井:新人の頑張りを無駄にしたくなかったですからね(笑)

――そういう細かいところまで見てほしいですね。

横山:今回インタビューでこうやってお話しましたが、気づけば2時間以上も盛り上がってしまう密度と熱量があるゲームなんです。僕らは、これがやりたくて『龍が如く7』を作ってきました。そして、同じようにユーザー同士でも「俺はどうした」「こうだった」みたいな会話をぜひやっていただきたいんです。

 今までのシリーズのようにキャラクターやストーリーに対して語るだけでなく、ゲームのプレイ体験自体が話題となって会話につながるのはすごく大事なことだと思っています。 “実際に遊んで体験の話を共有できるものを作る”ことを目指してきました。今回、それができたのではないかなと思います。

――自分もほかの人の体験をいろいろ知りたくて、はやく発売日がこないかとウズウズしています(笑)。

堀井:SNSとかでも盛り上がって、我々の想定していないクリアの仕方とかがたくさん出てくるとうれしいですね。

横山:全員がストリートミュージシャンでクリアとか……これは思いつきやすいほうですね。フリーターで最後まで戦い抜く人が出たら、それはちょっと見てみたいですね。俺はステゴロでいくぜって言って(笑)。

――勇者の物語なのにフリーターで進むんですね(笑)。そういうしばりプレイもアリですね。

横山:レベル99までいけばクリアできるのかな?

阪本:倒されはしないでしょうし、いつかはクリアできると思いますよ(笑)。

――いつかは勝てる理論じゃないですか(笑)。

阪本:僕は全員ホストのプレイを試してみましたけど、四方八方水浸しでしたよ(笑)。

――では最後に発売を待つファンに向けてメッセージをお願いします。

横山:さっきもお話したとおり、“みんなが話して熱く盛り上がれるものを作りたい”というのが個人的なテーマでした。今回、それが完遂できてよかったなと思います。今どきの娯楽は、1人で遊んで1人で完結する時代ではなくなってきています。楽しかったことも人と共有したい時代であるがゆえに、SNSも発展してきました。

 ですが、それは今に始まったことではなく、友だちや家族に話していたツールがネットに変わっただけで、結局いいものは人に伝えたいものなんです。それがSNSによってグローバル化し、すべてのものが人のコメント・評価を見て動く時代になってきています。

 自分が人柱になりたくないから利用しているというよりも、人と意見を共有したくて利用しているんだと思っています。僕らは、これまで各種トレーラーやプレイ動画を配信していますけど、それでも本作の魅力は伝えきれていません。なので、あとは遊んでもらって好きに会話のネタにしてもらえれば幸いです。

堀井:今回はRPGにしたり主人公も変わったりと、本当にゲームを設計する側としては今までで一番大変でしたが、今までで一番、作っていて楽しかったんですよ。それは新しいことに挑戦できる楽しさというのもありますし、ゲーム自体の持ってるポテンシャルによるものでもあると思います。スタッフみんなで楽しみながら作れた作品なので、きっと皆さんにも楽しんでもらえる、いいゲームになっていると思います。

――たしかに作り手の楽しさが伝わってくるゲームだと感じました。

横山:あと、これはユーザーのみなさんには直接関係がないことですが、我々スタッフの自信にもつながったと思います。JRPGを作るのは本当に大変なので、それをしっかりと作り上げて、そしてこれまでのシリーズと同じ期間、同じ人数で作りきったのは本当にスゴイことです。

堀井:そうですね。「アクションアドベンチャーしか作れないチームじゃねぇんだぞ」ということも証明できました。すごく自信になりましたし、チーム全員が大きく成長できた作品になったんじゃないかと思います。

横山:社内でも誰もが発売日が延びると思っていましたから。「延びるんでしょ?」って各所で聞かれて、「延ばしません」と答えてきてよかったです(笑)。