ワイン好きのベンチャー社長が「気づいたらお酒をやめていた」意外すぎる理由 禁酒するつもりはまったくなかった
※本稿は、佐渡島庸平『観察力の鍛え方』(SB新書)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/CarlosAndreSantos※写真はイメージです全ての画像を見る(4枚)仮説を作るための3つ目の方法は、データに当たる、だ。
「今年は暑いねぇ」と何気なく挨拶をする人がいる。僕は、こういう言葉に出くわすと、立ち止まってしまう。「今日は暑い」は事実としてすぐに確認できるが、「今年は暑い」は、データと照らし合わせないと確認できない。
そもそも人の記憶とは、妄想と変わらないくらいにいい加減なものだと思ったほうがいい。人は、「その場で見たから、覚えている」と考えがちだが、実際に正しく見ていたかはわからない。記憶は、保存しているうちに歪んでいく。仮説を立てるときに、記憶に頼ることはお勧めできない。
そこで、統計データがあるものはデータに当たるのだ。
データから仮説を立てて、実行するプロセスを、僕の日常の一コマから紹介する。
僕はFitbitという心拍数を測るスマートウォッチをここ数年つけている。Fitbitのデータを毎晩見ていて、仮説検証を繰り返していたら、お酒を飲むのを自然とやめていた。「コルク」という社名をつけるくらい、ワインも大好きだったというのに。
どんなプロセスだったのか。
Fitbitでは、安静時心拍数と睡眠スコアが出る。データを見ていると、不規則に安静時心拍数が高くて、睡眠スコアが低い日がある。共通していたのは、飲酒だった。飲酒が、睡眠の質を下げている。
それを知り、食事のはじめだけお酒を飲み、後半は控えるようにしたり、飲んだ日は長めに風呂に入ったり、寝る前にたくさんの水を飲んだり、様々な仮説を実行した。飲酒しても、いい睡眠ができる方法をたくさん試した。だが結局、何を試してもダメだった。最終的にお酒を飲むのがいけないという結論に達し、お酒をやめたら数値が一気に改善した。