【小寺信良の週刊 Electric Zooma!】第629回:「EDIUS Pro 7」担当者に聞く、ビデオ編集の過去と未来 - AV Watch
8月23日より、Grass Valleyの映像編集ソフト「EDIUS Pro 7」が発売された。価格は通常版が通常版が83,790円、アップグレード版が31,290円となっている。
EDIUS Pro 7はプロ用のソフトなだけに、一般の読者諸氏には馴染みが薄い部分も多いので、詳しい話はいずれ業界専門メディアで披露するとして、今回は最初のEDIUS誕生から丁度10周年ということで、その歴史を振り返りながら、日本が誇るソフトウェアの変遷をインタビューで探ってみたいと思う。
大人気となったキャプチャカード「MTV1000」まず歴史を振り返る上で思い出して頂きたいのは、現在EDIUSシリーズなどを開発しているGrass Valley神戸開発拠点とは、元々はカノープスであったという事実である。カノープスは、かつてはPC周辺機器メーカーとしてグラフィックカードやキャプチャカードなどで一斉を風靡していたものだ。2001年に登場したアナログ放送のテレビキャプチャカード「MTV1000」は、発売されるや秋葉原の店頭に行列ができるほどの人気を博したものである。
DVRex-RTその一方で、ビデオ編集ツールとしてのハードウェアも、質の高いものを輩出した。1999年発売の「DVRex-RT」は、当時のDVカメラを使ったキャプチャ製品だったが、専用の編集ソフト「Rex Edit」はシンプルながらなかなかよく考えられており、筆者もずいぶん仕事で使わせて貰った。当時DVの編集システムを使ってプロの仕事をする人は少なかったが、ソニーが業務用システムのDVCAMを製品化したこともあって、ケーブルテレビなどでは重宝された。
その後も編集用のツールは順調に成長したが、テレビキャプチャブームの急速な終焉により経営が悪化、2005年にはフランスのThomsonに買収された。当時Thomsonは米国の放送機器メーカーであるGrassValleyを先に買収しており、カノープスの事業はGrassValleyブランドに統合された。ただ社名はトムソン・カノープスであった。
その後2011年にGrassValleyが再度Thomsonから独立したことで、神戸のトムソン・カノープスはGrassValleyの日本法人であるグラスバレー株式会社の本社となり、GrassValleyブランドのデジタルエディティングソリューション全般の開発拠点となっている。
右から竹内氏、片岡氏、江草氏、粟島氏GrassValleyという会社自体は、放送局やポストプロダクションの技術者でなければ一般の方は聞いたこともないと思うが、スイッチャーやDVEなどの映像機器専門メーカーで、創業は1959年と古い。またここからはAJAやEditWareといった映像機器メーカーがスピンアウトして事業を展開するなど、映像関係者には馴染みの深いブランドである。
今回お話しを伺ったのは、デジタルエディティングソリューションズ ヴァイスプレジデントの竹内 克志氏、プロダクトマネジメントディレクターの片岡 敦氏、R&D エディティングソリューションズ ディレクターの江草 俊文氏、プロダクトマーケティングマネージャーの粟島 憲郎氏である。(以下敬称略)