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「石油元売り会社」出光興産のDX、“脱炭素”への変革に必要なこととは |ビジネス+IT

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    「石油元売り会社」出光興産のDX、“脱炭素”への変革に必要なこととは

    世界的に脱炭素化の動きが加速する2021年、日本は国として「2050年カーボンニュートラル宣言」を打ち出した。化石燃料を主力事業とする石油会社にとってポジティブとは言えない潮流の中で、どのように成長戦略を描くのか。出光興産が事業ポートフォリオを転換し、将来にわたって成長し続ける上で鍵となるデジタル変革のリーダーであり、CDO(最高デジタル責任者)とCIO(最高情報責任者)を兼務する三枝 幸夫氏に聞いた。

    聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:畑邊康浩

    聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:畑邊康浩

    <目次>
    1. 世界的な脱炭素化の加速により中期経営計画を見直し
    2. 社内、社外との連携、顧客に向けたDX
    3. 現在注力している「3つのDX施策」の成果とは
    4. CDOに求められるのは「強い心と前向きな精神力」
    ──出光興産の事業の全体像について、中期経営計画を基にお教えください。三枝幸夫氏(以下、三枝氏):出光興産は、1911年の創業以来、第二次世界大戦やオイルショックなど、さまざまな危機を乗り越えながら、チャレンジャブルな領域に取り組んできた歴史がある会社です。当社の中期経営計画は3年ごとに策定しており、現在は2019年11月に公表した2020~2022年度の中期経営計画の途中ではありますが、計画期間開始から1年経った段階で大きな環境変化があったため、「中期経営計画の見直し」を2021年5月に公表しました。 この「見直し」は、ほぼすべて作り直しに近い内容です。大きな環境変化というのは、新型コロナの影響によるライフスタイルの変化や主要製品の需要減少などもありますが、2020年10月に日本政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したこと、世界的に脱炭素化の動きが加速化していることが大きいのです。 当社は燃料油のほかにも基礎化学品、電力、高機能材や資源開発などさまざまなビジネスを展開していますが、やはり売り上げ・利益ともに燃料油に大きく依存しているというのが現状です。今回新たにコロナ禍、それからカーボンニュートラルという当社にとって大きな変化点に差し掛かっていると言えます。そうした中で、DXによって次の成長軌道に乗せていこうというチャレンジを中期経営計画では描いています。──見直しによって最もドラスティックに変わったのは、事業ポートフォリオの転換ということになるのでしょうか。三枝氏:そうですね。2019年に出した中期経営計画では、さまざまな試みがあるということは説明していたのですが、それを3つのカテゴリーにまとめて方向を示したところが大きいと思います。 3つというのは、先進マテリアル、次世代モビリティ、次世代エネルギーへのトランジション(移行)です。エネルギーに関しては、今のところ化石燃料に取って代わるエネルギーは十分にありませんし、当面は社会にとって化石燃料が必要なので、ニーズがある分はキープしながら少しずつ次世代エネルギーへ移行していくということになると思います。──DXの方針をどのように考えられていますか。三枝氏:「Digital for Idemitsu」「Digital for Ecosystem」「Digital for Customer」という3つの軸を打ち出しています。「Digital for Idemitsu」は、従業員の新しい働き方創造のためにデジタルを使うという考え方です。そして、「Digital for Ecosystem」は企業間連携による共創を推進すること。「Digital for Customer」は、既存・新規事業問わず顧客に向けてデジタルを前提とした新しいサービス、新しい価値を提供していこうという方向性です。 最重要なミッションは、新規事業をつくることです。ただ、たとえばコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)をつくって、今の事業とまったく別の領域で新規事業を立ち上げていくわけではなくて、やはり「トランジション」です。化石燃料の需要が減っていく中で、次世代エネルギーへ徐々に移行し、それを伸ばしていく。ですから人材に関しても、いま燃料を売っている人たちが、新しい再生可能エネルギーをサービスとして提供するという形に変えていくことになります。そういう意味では、「Digital for Idemitsu」は非常に重要なミッションです。【次ページ】社内、社外との連携、顧客に向けたDX

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