「ブロ解」でSNSの人間関係をリセット
SNSでは、いろいろな人間関係がつながり続けます
ブロ解された相手は「いつの間にかフォローが外れてる?」と気づくかもしれません。再度フォローしてくる可能性もありますが、「ブロ解したんだな」と気づいてそのままにすることが多いようです。それほど、若い人達のSNSで「ブロ解」は知られている行動なのです。
過去のつながりをリセットする機会がない若者
ブロ解はTwitterやInstagramで行われます。「ブロ削」(ブロックして削除)と呼ばれることもあります。
2021年10月、Twitterは「フォロワーを削除」機能をリリースしました。相手からのフォローを外す機能です。ブロ解に似ていますが、自分からのフォローは外れません。外したい場合は、別途フォロー解除します。この機能は、Twitterで誹謗中傷を受ける人を守る機能のひとつとして提供されています。
LINEに関しては、ブロックしたのちに削除しても、相手の「友だち」から自分を消すことができません。相手の「友だち」から消えるにはアカウントの作り直ししかないので、ハードルが高いですね。
なぜ、相手のフォローから自分を外したいのかといえば、前述したように「相手とつながる前の状態に戻るため」です。この感情は「人間関係リセット症候群」と呼ばれることもあります。人間関係リセット症候群とは、人間関係のリセット(解消)を繰り返し行う心理状態を指します。SNSでの関係、電話番号、メールアドレスをすべて変更し、時には引っ越しもして過去の人間関係を絶つのです。
ただ今の若者は、そこまで大げさな話ではないと考えています。子どものころからSNSを通じて何らかのつながりを保っていますから、連絡を取らなくなった小学生時代の友人がSNSのフォロワーに紛れていることも少なくありません。また、高校に合格したときSNSで「#春から〇〇」のハッシュタグでつながり合ったけど、入学してから一度も交流がない、共通の知り合いなのでフォローしたけど接点がないまま卒業する、という関係の人もたくさんいます。そこで、ブロ解するのです。
SNSが普及する前は、学校の卒業やアルバイトの退職、就職といった転機で自然に距離ができ、そのまま連絡することなくお互いを忘れていくものでした。しかし今は、小学校の同級生に恋人とのツーショットを見られ続けます。ブロ解やブロックなどの手段で相手との関係性をはっきりと示さなければならない時代になったのです。
これは大人でも感じている人がいるのではないでしょうか。Facebookでつながってはいるものの、もう会うことはない人がいるでしょう。Facebookはこちらから友だちをやめるだけでフォローが外れるため、「友人整理」を宣言して外している人もいますが、ほとんどはそのままです。すでに辞めてしまった会社の取引先など、微妙な関係もありますよね。とすると、若者のように「ブロ解」する感覚が広まれば、楽になるかもしれません。
とはいえ、若者もブロ解されると気にならないわけではありません。「自分以外に誰をブロ解したか」をフォローリストで確認し、ヤキモキすることもあります。ある高校生は「ブロ解されたので相手のフォローリストをチェックしたら、かわいい女子だけ残してた。あいつ、ワンチャン狙ってるのかも」と話していました。
ブロ解できないLINEでは、「元カレをブロックしたけど、トークルームが残ってるから、買い物メモに使ってる」という人もいます。今は「Keepメモ」という機能で自分専用のトークルームが作れますが、そういうことではなく、何でも楽しみたい若者らしい行動なのでしょう。
SNSは、一度つながると切りにくい側面があり、関係性に疲れてしまいます。ミュートやブロック、そしてブロ解をうまく使い分けて、心穏やかに楽しめる環境づくりが大切です。
著者 : 鈴木朋子
すずきともこITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。10代のスマホカルチャーに詳しく、女子高生とプリクラにも出かける。趣味はへんてこかわいいiPhoneケース集め。著書は「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など20冊を超える。
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