ユーザーに「導入しない理由がない!」とまで言わせる延長保証サービス『proteger』
ECで販売される商品の延長保証サービス『proteger』。導入することでCVR120%アップを達成した企業まであると言う。これまでありそうでなかったこのサービスについて、protegerを提供する株式会社Kivaの代表取締役CEO野尻航太氏と、すでにprotegerを導入して大きな手ごたえを感じているというバッグメーカーのエース株式会社営業本部第三事業部次長 北山浩氏に話を伺った。
延長保証サービス『proteger』
――protegerとは、どのようなサービスなのでしょうか。野尻:ECサイトが延長保証を提供できるようにするサービスです。Apple Careのような保証を、アウトソースする形でECに組み込むことができます。――Apple Careというと、壊れたときや商品に不備があったときに、無償で商品を取り替えてくれるサービスですよね。野尻:そうです。交換・修理をしてくれるサービスですね。protegerでは、新品と交換する形で保証いたします。protegerを導入されると、カート画面で追加保証を選択するボタンが表示されます。お客様が商品購入の際、延長保証に加入して、例えば1年半後にスーツケースが壊れてしまったとします。そうしたら、弊社のチャットボットに保証番号やメールアドレスをご入力いただくことで、保証申請ができます。もちろん電話やメールでも保証申請は可能です。保証申請があると、弊社のカスタマーサポートが管理画面上でEC事業者さんに交換依頼を出し、交換対応をしていただきます。――例えば1万円の物が壊れたら、交換品として1万円の物をお客様に送ることになると思いますが、その交換品1万円の代金は、どのような扱いになるのでしょうか?野尻:保証商品の費用負担はKivaが行います。私達からその月の保証料との差分の請求をさせて頂きます。今、Shopifyのみで対応している新しい交換のフローなのですが、保証申請を受けた後、お客様に対して小売代金分のShopifyクーポンコードを発行しています。お客様は送られたリンクを押すと、ECサイトの決済画面に飛んで、普段ECサイトで購入するのと同じ流れで交換完了できます。このような機能が、今、何社かで運用開始したところです。EC事業者さんが交換のための特別な動きを取る必要がなく、倉庫の販売在庫から送ってもらうことが可能です。
ありそうでなかった延長保証サービス
――ECにおいて、このような延長保証サービスというのは、ありそうでなかったと思います。野尻:そうですね。現状では、protegerに代わる手段となると、保険会社さんとの契約になるかと思います。しかし、保険会社さんがこれまで取り扱ってきたものというのは、大手企業が多いです。そして商品のカテゴリーでは、家電など。需要は今までもあったのですが、対象となる層が非常に狭かったのです。しかし、延長保証のニーズがある層というのは、まだ成長中のEC事業者さんが多いです。しかし、そういった事業者さんに対して、保険会社さんはリスクを取りにいかない。なので、ほとんどの事業者さんは、延長保証を活用しようにも、保険会社に相手にしてもらえないというのが現状です。北山:お客様から、「この商品に保証はついてますか?」と絶えず聞かれるわけですが、そのたびに、「スーツケースとかバッグには保証を付けていません」というご案内をしなくてはいけなかった。それが今回、protegerを使うことによって、安心も一緒にお求めいただけることになりました。これは、非常にお客様に喜ばれるサービスだと思います。――protegerを導入するのは、時間やコストがかかるのでしょうか。野尻:導入までの時間は、Shopifyを使っている場合、最短即日で導入が可能です。Shopifyのアプリとして延長保証がパッケージ化されているので、非常に簡単に運用を開始していただけます。また、導入コストも運営コストも無料です。――無料というのは、お客様が支払った保証料のみで運営されているということですか?野尻:そうです。エンドユーザーの支払った保証料だけで運営しています。導入するEC事業者側で負担する費用は一切ありません。北山:だから、私は「入れない理由はないよ」と他のEC事業者に薦めています。無料だし、特に不便なところもないので、他のサービスに変えようとも思わないし。中には、入れたはいいけれど全然使いこなせないサービスとかもあるじゃないですか。使いこなせなくて1年で解約とか。protegerは、そういったことはないですよね。自分たちでやることは、アプリをインストールすることくらいなので。
導入後のチューニング不要、ノータッチで利用しつづけられる
――初めてprotegerを知ったときの率直な印象について聞かせてください。北山:もう「きた!」という感じです。延長保証を実際にproteger以外で実現しようとしたら、保険会社と組むことになると思います。商品一つずつ保険料を決めて、さらにそこから、保証対応商品の登録をし、管理画面に移って、請求があったときどうするか、誰がオペレーションするか、それを1個1個コスト計算していく。その手間を考えたら、現実的ではありませんでした。protegerならアプリをいれてCSVをちょっとインポートするだけで完了するのでEC運営をされていて、お客様からの要望が少しでもあれば導入すべきサービスだと考えています。野尻:protegerは保険会社と違い、システムで管理してるので、保証期間にバリエーションを持たせることができます。1つの商品に対して、1年保証と2年保証の両方を用意して、お客様に選んでいただくなどができます。お客様それぞれに商品の使い方が違いますから、求める保証期間も違います。そこに対応できるというのが、protegerの大きな利点です。――最初導入した後、個別設定などは必要でしたか?北山:それは全くありません。事業者側は本当に負荷がありません。例えば、特定の商品にどんどん交換対応の保証申請が来たとしても、EC事業者側で特別に対応することはありません。野尻:ここはシステムだからできることですが、保証申請率が高くなると自動でアラートが来て、保証料を引き上げるようになっています。北山:そのためEC側がお客様に「保険料上がります」といちいち言う必要がない。価格が表示されたタイミングで改訂された保証料が提示されるので、お客様がそれを見て、延長保証をつけるかつけないかを判断するだけ。――なるほど、それは楽ですね。北山:protegerを導入してから、「この商品、保証ありますか?」という質問も一切こなくなりました。商品を買おうと思ったら、カートボタンの横にprotegerのボタンが1年保証と2年保証の2つ現れるので。それを見て「保証は自分で買うものなんだ」とお客様が理解してくれるようになりました。
protegerはこんな商材に向いている
――導入が難しい商品はありますか?野尻:食品・アパレルにまだ対応しきれていませんが、靴の保証は始めています。ここはもっと改善していけると考えています。――protegerが有効な商品価格帯というのはありますか?野尻:protegerの延長保証サービスが最も効いてくるのは、1万円から3万円くらいの商品だと思っています。この価格帯だと数千円で保証に入れますので、消費者も追加で保証に入りやすいところです。現状分析を進めている中で、最も相性がいいのは1万円~3万円の家電です。保証の文化が根付いているのがやはり大きいなと感じます。例えば、スマートウォッチを扱っている会社さんでは、購入者全体の40~50%が延長保証も合わせてご購入いただいています。
ノーコストで顧客満足度向上
――靴の保証も扱うようになったということですが、靴のご担当者さんは、どのような課題を持って導入決定されたのでしょうか?野尻:例えば加水分解してしまったりといった、修理のニーズはずっとあったようです。しかし、ショップでは対応しきれないので修理屋さんを案内するにとどまっていたとのこと。交換するにも、自社でなかなかリスクを取れない。そのようなことから、もともとニーズを感じていた会社さんに導入いただいています。パンプスなどもヒールが折れたりしますよね。お客様としてもフラストレーションが溜まっているので、「もう二度と買わない」といったクレームがくることもあります。しかし、ここで私たちが、「すぐに交換します」と対応することができる。靴の交換サービスはアメリカで普及が進んでいますが、”すぐに交換すること”で顧客体験の向上を狙っています。もちろん、修理の方が安く済みますが、あえてそこで交換することによって体験価値を上げ、またお客様がそのブランドを選択してくれるようにするのが大きな違いだと考えています。北山:そこでの顧客体験は、LTVが止まるか止まらないかの分かれ道だと思います。トラブルが発生したとき、顧客体験をよくすれば、「さすがACEだよね」と言っていただける。すると、「次も買おうか」となるわけじゃないですか。とはいえ、自腹でこれを交換するとなると、コスト上がってしまう。そこで、protegerを使えば、顧客体験も向上できるし、コストはかからない。そう考えたら、もうますます使わない手はないと思います。――EC事業者にとっては、いいことだらけですね。北山:自分たちでカスタマーセンターを設けていると、朝一番でいきなりすごい剣幕でクレームの電話がかかってきたりする。このストレスがなくなるだけでも、非常に気持ちが楽になりますし、それに関わる時間も削減できます。後ろ向きな作業から、集客という前向きな作業に時間を割くことができ、その事業全体が好循環で回っていく。そう考えると、これはもう必須なサービスだと思います。
今後の展望
――今後どのように延長保証を推進していこうと考えていますか?野尻:今、クレジットカード決済は当たり前ですよね。ないとユーザーが離れてしまうくらいになっています。延長保証もクレジットカード決済くらい当たり前の存在にしていきたいですね。――決済まわりのところは、コンバージョンに大きく関わる領域ですよね。最後のひと押しというか。野尻:スマートウォッチの会社で、約120%CVRが向上した事例があります。シンガポールの会社なのですが、商品はいいけれど認知度はまだまだ。そんな中、第三者の会社が保証をしていることで、新規購入の障壁が和らいだのだと思います。ここは、延長保証のもう一つの利点ですね。――どのくらい交換依頼が来ているのかを、proteger側は把握しているので、「この事業者さんの商品は安心」といったところも分かりますよね。野尻:そうですね。また、どういう事象で壊れたかというデータも事業者様にはお役立てていただいています。返品率のデータを持っている会社はありますが、故障率のデータを細かく持ってる会社は少ないんです。大手メーカーでも1年しか保証していないので、2年後に壊れたかどうかを追うことはできない。その点、弊社はロングタームで付き合っていきます。保証申請が来たとき、どのような経緯で故障したかを細かくヒアリングして、事業者さんにお伝えします。壊れた商品を希望される事業者さんに対しては、現物もお渡しするので、工場に「ここを改善してください」とフィードバックして品質改善につなげることも可能です。ここについては、保証申請がもっとくるようになったら、充実していくと思います。――ACEさんとしては、今後protegerに求めることなどありますか?北山:機能自体には、大変満足しています。あとは、加盟店が増えて、利用者が増えて、保険料全体がもっと下がると、お客様もより利用しやすくなるのではないでしょうか。何度も言いますが、EC事業者側にはリスクがないサービスです。入らない理由がない。導入をしないショップは、protegerのことを知らないか、スタートアップのサービスを使うことに躊躇しているかだと思います。でも、EC事業者が新しいことをやっていこうとか、お客様に対してよりよいサービスを提供しようとなったとき、スタートアップを使わざるを得ない部分というのは、どうしてもあります。多少リスクかもしれませんが、大手だからといって完璧ではありません。全くノーリスクというのはあり得ないわけです。思い切って導入してみることを、いつも皆さんにお薦めしています。差別化要因にもなりますし、今後、間違いなく不可欠なツールになります。