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プロ棋士向け最強将棋AIマシンを組む! ある相談から全てが始まった(ITmedia NEWS) - Yahoo!ニュース

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64コア128スレッドという驚異のコア数をほこる「Ryzen Threadripper 3990X」

 「ディープラーニング系の将棋ソフトを使いたいのですが……」──11月中旬、筆者のもとにある相談が舞い込んできた。【画像】「羽生善治さんに魂を抜かれた棋士」といわれることもある広瀬章人八段の画像 発言の主は、将棋のプロ棋士である広瀬章人八段。王位、竜王のタイトル獲得経験もある、トッププロの一人だ(順位戦では最上位のクラスに当たるA級に在籍)。将棋に詳しくなくても、ネットミームに親しい人なら「羽生善治さんに魂を抜かれた棋士」という画像なら見たことがあるかもしれない(本人いわく「上を向いて考えていただけ」とのこと)。

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プロ棋士がコンピュータで研究する時代

 将棋界では「Ponanza」が2013年に佐藤慎一四段(当時)に勝ってから、囲碁界では「AlphaGo」が2016年にイ・セドル九段(当時)に勝って以来、プロ棋士によるコンピュータを使った研究が本格化している。将棋ファンには、今をときめく藤井聡太竜王が米AMDのハイエンドCPU「Ryzen Threadripper 3990X」で自作PCを組んで分析をしているという話は有名だろう。 筆者はITmedia PC USER、Mobileなどを渡り歩いて今はNEWSに身を置いているため、ハードウェアのスペックについても、AIが必要とする要件についても世の中の平均よりは少しだけ知っている立場だ。個人的な付き合いもあったことから、広瀬八段の相談先にばってき(?)された。

GPUの強化だけではダメ?

 なるほど、ディープラーニングで将棋の研究がしたいと。聞くと第9世代Core i9 9900Kを搭載したマシンは手元にあるが、グラフィックスカード(GPUを搭載したカード)は載せていないという。では、追加で米NVIDIAのハイエンドGPU「GeForce RTX 3090」を1基か2基挿せば十分そうだ──というのが最初の所感だった。 もっとも、タイトルを獲得すれば数百万~数千万円ほども賞金が出る世界なのだからPCのスペックなど盛れるだけ盛っておけという考え方もある。かといって、使いもしない大容量SSD・HDDなど、無駄なものは提案したくない。最小のコストで必要な効果を出すなら追加GPUのみでいいのでは、という考えだった。 しかし、気にかかることがあった。藤井竜王がハイエンドCPUであるThreadripperを採用している点だ。 一般に、ディープラーニングの計算をさせるならCPUよりGPUが適任とされる。CPUはOSの動作からWebブラウザやゲームソフトの実行まで汎用的な計算を行えるが、「一般的には」並列計算にめっぽう強いわけではない。 GPUは、もともとはディスプレイに出力する映像を専門的に演算する装置だ。例えばフルHD60fpsのディスプレイに映像を出すなら、1920×1080ピクセル=約200万ピクセルを1秒間に60回描画する必要がある。1ピクセルの1度の描画を1計算とするなら、1秒間に200万ピクセル×60回=1億2000万回計算することになる。 より慣れ親しんだ形なら(この表現は正確ではないが)120MHzとも表せるので大した計算ではなさそうにも見えるが、ここで押さえてほしいのは「映像の描画は並列計算である」ということだ。GPUはCPUのように「なんでもできるプロセッサ」は持っていないが、その代わりに「簡単な計算ならできるプロセッサ(コア)」を多数搭載している。多数のコアで同時に計算することで、フレームごとに適切な色のピクセル群を出力している。 このようにGPUは並列計算に特化した装置とも捉えられることから、映像処理以外の並列計算にも使われるようになった。そして、ディープラーニングはその計算アルゴリズム(行列計算の繰り返し)から並列計算と相性がいい。

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最終更新:ITmedia NEWS