【本田雅一のAVTrends】新Apple TVアプリ(日本語版)を通して知る“日本市場の乖離” - AV Watch
アップルが4月25日に発表した内容は、すでに本誌でも記事が紹介されているため、ご存知の方も多いだろう。アップルはApple TVのユーザーインターフェイスに大きくメスを入れ、さらにApple TV+というアップル製品ユーザーだけが楽しめる映像コンテンツに投資を行なっていく。
多くのハリウッドスターや制作者も参加する盛大な発表会だったが、その中でハードウェア製品でもあるApple TVの改良と、その改良されたあたらしいApple TVのソフトウェアを、iPhone、iPad、それにMacでも使えるようにするとアップルはアナウンスした。
またサムスンのテレビ(日本では未発売)上でApple TVアプリが動作するようになるほか、年内にはソニーをはじめとするいくつかのテレビメーカーも同様の対応が進むという。
Apple TVは近年、大幅なアップデートを繰り返しており、iTunesで購入したり、あるいはブルーレイのオマケで付与されるダウンロード再生権へのアクセスなどだけではなく、スポーツのライブ中継や各種有料映像ストリーミングサービスへの接続など、インターネットを通じて映像を楽しむさまざまな要素を集約している。
ここ数年、力を入れているのは“検索”と“リコメンド”。中でも複数の有料チャンネルや映画などにまたがった串刺し検索は、Apple TV最新版における最も優れた機能のひとつだ。もちろん、Siriとも連動しており音声での検索も行なえる。
北米における映像ストリーミングサービスは極めてその数が多い。HBO、Starz、SHOWTIME、Smithsonian Channel、EPIX、Tastemade等の名前を聞いたことがある読者も多いだろう。Apple TVがハンドリングできる映像ストリーミングサービスは、実に150チャンネル以上にも及ぶ。
米国向けサービスでは様々なストリーミングサービスが利用可能これだけチャンネル数が多いと、望みのチャンネルを探すこともなかなか大変だ。検索やリコメンドに力を入れる背景には、多種多様な番組があるからに他ならない。
また最新版のApple TVでは、他のアップル製品向けサービスと同様、ファミリー共有(家族として登録したApple IDの間で定額サービスを共有する仕組み)や、ダウンロードした上での視聴(オフライン視聴)機能なども提供される。
また契約していないチャンネルや、個々に購入が必要なコンテンツが見つかった場合、その場で手軽に購入(あるいはサービスへの加入)できるよう丁寧に動線が張られている。
同種のサービスは決して珍しくはないが、ハードウェアとしてのApple TVに加えて、iOSやmacOS向けアプリでも同様の機能を提供し、決済までの流れをスムースに実装している点にはアップルらしい洗練された魅力がある。
“新Apple TV”は、これまで開発してきた同製品の集大成とも言える“新しいテレビのカタチ”を具現化したものだ。今年はアップル自身が投資する映像コンテンツチャンネル「Apple TV+」も開始される勝負の年だけに、かなり気合いが入っている……のだが、“新Apple TV(日本語版)”に関しては、残念ながら大きな体験の差を生むことができていない。