沿って, smartwatches 15/08/2022

英ロイヤルが環境問題に変化をもたらすことは可能?

エリザベス女王はこのほど、COP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)で、世界の指導者たちに向けてビデオメッセージを発表した。気候変動に立ち向かうために「共に努力する」ことを呼びかけた女王の言葉は、これまで英ロイヤルファミリーが語ってきた気候変動に関する多くのパワフルな言葉の集大成となった。

チャールズ皇太子が何十年もの間、自然を第一に考えるように呼びかけ、ウィリアム王子が気候変動問題についてますます声高に訴えていることなどを鑑みると、英ロイヤルは地球を守るための戦いの中心に自らを位置づけているようだ。

しかし、国民が英ロイヤルに模範を示すよう求めるようになってきたことで、ロイヤルファミリー自身のライフスタイルや、環境への配慮が注目されるようになり、「彼らは実際にどの程度、環境問題に変化をもたらすことができるのか?」という疑問を抱いている人も多い。

気候変動に関するチャールズ皇太子の発言すべてを網羅するほどの記事は存在しない。しかし、チャールズ皇太子がこの問題について初めて大々的に演説したのは1970年2月のことで、皇太子はこのとき「あらゆる形の弊害を生む汚染の恐ろしい影響」について述べ、「生分解されないプラスチック容器」の大量使用の問題点を強調した。

それから約50年後の2020年1月、ダボスで開催された世界経済フォーラムでスピーチを行い、「私は人生の多くの時間を、人類と自然と環境との調和の回復、そして企業の社会的責任と環境責任の促進に捧げてきました。率直に申し上げますと、それは少し苦しい戦いでした。しかし、今こそ次のレベルへと進むときなのです」と振り返った。そして、持続可能な市場のための10の「実践的行動」を示し「唯一の限界は、私たちの行動への躊躇です」と締めくくっている。

FABRICE COFFRINIGetty Images

チャールズ皇太子は長年、地球保護の必要性について英ロイヤルのなかで最も顕著な発言をしてきたが、近年は、ウィリアム王子がこの分野での活動を大幅に加速させている。2020年10月に行われたTED講演では、これからの10年を「歴史上最も重要な時期」と表現した。

その1年後にはBBCのインタビューで「アースショット賞」について語ったコメントが注目を集めた。王子はこのとき、「次の居住地(火星)を探すのではなく、この惑星(地球)を回復させるために世界最高の頭脳とマインドが必要です」と述べている。

女王は自分の意見を言わないことで知られているが、COP26の開会式で世界の指導者たちに向けて行ったパワフルなスピーチでは、緊急の取り組みの必要性に対する女王の立場は、疑う余地もなかった。

女王は、「口約束だけの時代は終わり、今は行動を起こす時です」と述べた。これらの発言は公に向けたものだったが、10月中旬のプライベートな会話でも、女王はCOP26に参加しない指導者たちへの不満を「口先だけで行動が伴わないのは、本当に苛立たしい」とこぼしていたそう。

英ロイヤルファミリーが、その知名度と召集力を活かして、変化をもたらす特別な立場にあることは間違いない。ウィリアム王子の「アースショット賞」は、地球を回復させるための50の解決策を見つけて資金を提供するというもので、最近の注目すべき試みだが、ロイヤルファミリーのメンバーは何十年も前から環境保護団体を支援してきた。

英ロイヤルが環境問題に変化をもたらすことは可能?

フィリップ王配は世界野生生物基金(WWF)への支援を行い、チャールズ皇太子は複数の慈善団体やイニシアチブを支援・設立するなど(プリンスズ・カントリーサイド・ファンドやサステナブル・マーケット・イニシアチブはそのほんの一例)、英ロイヤルは地球環境問題にたびたび光を当ててきた。

また、女王の在位70周年を祝う来年のプラチナ・ジュビリーの祝典を機に、英王室は人々に植樹活動への参加を呼びかけている。さらに、クイーンズ・グリーン・キャノピーでは、毎年10月から3月にかけて、個人や団体に「ジュビリーのために木を植えよう」と呼びかけている。

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慈善活動の先頭に立つことは英ロイヤルの役割のひとつだが、著名な地位にある彼らが実際にどれほど環境に配慮した生活を送っているのかという点にも注目が集まっている。年に何度も自家用機で世界を飛び回り、王室の邸宅間の移動にはヘリコプターを使用することの多い彼らが、ときに偽善的だと非難されるのも無理はない。

英国を代表して海外で任務を遂行する際、英ロイヤルは二酸化炭素の排出量をコントロールできないとも言えるが、最高レベルの人々が自ら説くことを実践している姿を見たいと思うのは、国民にとって当然のこと。

バッキンガム宮殿は何年も前からこのことを意識しており、ウェブサイトには「環境への影響を減らすために、王宮と領地での業務全体で努力しており、エネルギー効率の高いLED照明から水力発電所まで、あらゆるものを使用して効率的な運営を行なっています」と記載されている。

60個のスマートメーターがエネルギー消費を監視し、宮殿は2006年7月以来、王室を環境に優しい場所にするために「グリーン・チャンピオン・ネットワーク」を導入しているという。バッキンガム宮殿は現在、約570億円(3億6900万ポンド)の公的資金を投入した改修工事を行なっているが、老朽化したボイラーを新しいエネルギーセンターに置き換えることで、「年間300トンの二酸化炭素排出量の削減が見込まれる」と説明している。

チャールズ皇太子の公邸クラレンスハウスの広報は、皇太子が「よりサステナブルな方法で生活するために、個人的に多くのステップを踏んできた」と説明し、「彼のオフィスや自宅で使用するエネルギーの約半分は、ウッドチップボイラー、空気源ヒートポンプ、ソーラーパネル、“グリーン”電力などの再生可能エネルギーで賄われている」という事実を報告している。

皇太子は、1985年にグロスタシャーの自家用農場を有機農業に転換し、最近では、余ったチーズやワインから作った燃料で愛車のアストンマーティンを走らせていると言及したことは記憶に新しい。しかし先月、『サンデー・タイムズ』紙は、皇太子の慈善財団「プリンスズ・ファウンデーション」がサウジアラビアの石油会社から寄付を受けた後、調査が行われたと報じた。

どの程度チーズやワインで自動車を走らせることができるかどうかは疑問だが、英ロイヤルがハイブリットカーや電気自動車に乗っている姿はよく目撃されている。10月にロンドンで開催されたウィリアム王子主催の第1回「アースショット賞」の授賞式では、ペーパーレス化や植物由来のカナッペ、招待客がこのイベントに参加するためだけに飛行機を利用して来場しないこと、ゲストには手持ちの洋服を着用するか、服を選ぶうえでサステナビリティをアピールするよう求めるなど、サステナブルなイベントとして話題を呼んだ。

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より多くの人々が気候変動への対応の必要性に目覚めるなか、英ロイヤルファミリーは今後もその中心に位置することになるだろう。世界的な知名度を誇る英ロイヤルのメンバーは人々に耳を傾けさせる特別な影響力を持っているが、そうした行動を求める呼びかけが、どれほどの価値を持つのかを測るのは難しい。一方で、例えば「アースショット賞」の受賞者に贈られる計5000万ポンドの賞金や、チャールズ皇太子が設立しなければ存在しなかった慈善団体など、より具体的な結果をもたらす活動もある。

英ロイヤルはこのように特権的な立場にあるが、彼らの権限には多くの制約があることも知っておく必要がある。最近、英ロイヤルが所有する土地を本来の自然の状態に戻すこと(リワイルディング)を求める声が上がっているが、これには、君主の管理下にない、英国の公共財として運営されている独立した土地「クラウン・エステート」も含まれている。

しかし、バルモラル、サンドリンガム、ハイグローブなどの私有地や、バッキンガム宮殿などの公邸では、「野生動物や植物の生育」を促進するために作られた庭園があるため、ロイヤルは自分たちの行動を管理することができる。気候変動対策を提唱するロイヤルを人々が称賛しようが、批判しようが、否定しようが、彼らが気候変動問題に言及し続けていることは確か。

女王がCOP26で語った「私たちは自分たちのためではなく、子供や孫、さらには彼らの足跡をたどる人たちのためにこの活動を行なっているのです」という言葉を心に留めておきたい。

Tim GrahamGetty Images

Translation: Masayo Fukaya From TOWN&COUNTRY

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