初心者も安心な「ほったらかし投資」日本株&米国株最強銘柄(FRIDAY) - Yahoo!ニュース
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52コメント52件大発会の日経平均株価は大幅高から始まったが、その後は乱高下を繰り返し、上値の重い展開が続いている
約2年にわたるコロナ禍は、空前の「投資ブーム」を巻き起こしたと言っていいだろう。ビットコインやNFT(非代替性トークン)など暗号資産の投資が過熱し、老後資金形成や早期リタイアを意識し、現金を金融資産に換えようとする現役世代も増えた。【リスト】放置してもコツコツ稼げる!安定した銘柄一覧はコチラ「投資の王道」とも言える株式投資にも、全世界からマネーが集中している。だが一方で、短期で利益を上げようとするのは、投資のプロでも難しいと言わざるを得ない局面にある。経済アナリストの馬渕磨理子氏が言う。「’22年は早い段階での米国の利上げが予測され、ボラティリティ(変動性)の高い相場になる可能性が高いです。重箱の隅を突(つつ)くように細かく情報収集をしても、すぐに結果に結びつかないことも考えられます」今年に入り、日本でもコロナ感染の拡大が急速に進んだ。それに足を取られるような形で、日経平均株価の上値は重い状況が続く。そのようななかで、初心者でも「安心して、楽に」実践できる株式投資の方法が、株式の「配当利回り」を得てコツコツと稼ぐ「ほったらかし投資」である。「配当は、会社の利益を株主に還元するもので、企業が毎年のように増配していれば、安定して利益を伸ばしている証拠です。忙しくて毎日市場をチェックできないという会社員や、株の細かい値動きに一喜一憂したくないという場合におすすめなのが、売却益(キャピタルゲイン)ではなく、配当利回りによる利益(インカムゲイン)をベースに、5年、10年先を見越して稼いでいく『ほったらかし投資』と言えるでしょう」(株式評論家の渡辺久芳氏)一般的に言えば、「ほったらかし投資」に適しているのは、一株あたりの配当金が比較的高い一方で、業績や株価が景気にあまり左右されない銘柄ということになる。どのような銘柄が該当するか、日本株から見ていこう。「日本株でいえば、花王は31年連続増配の『配当貴族』銘柄として知られています。現状の配当は、1株あたり140円。この水準が10年間維持されると仮定して、100株持っていれば単純計算で14万円の配当金が手に入ります。また、日本郵船の今期年間配当予想が800円で注目を集めていますが、こちらも10年維持されれば80万円の配当金になる計算です」(前出・馬渕氏)花王は高い付加価値を持つ日本企業として世界の投資家の注目を集める。経済ジャーナリストの和島英樹氏が続ける。「花王は、目の不自由な人がシャンプーとリンスを識別できるよう、容器にギザギザの触覚記号をつけることを提案した先駆者です。また、洗剤などのプラスチック容器の完全リサイクル化を目標に掲げています。世界的なESGおよびSDGs投資ブームで評価されています」花王と同じように、「ほったらかし投資」の有力銘柄としては、オリックスが挙げられる。25年ぶりにリーグ制覇を果たしたオリックス・バファローズの活躍も記憶に新しいが、オーナー企業はリース、生命保険、不動産など多角経営による高収益を強みにしている。前出・和島氏が解説する。「株主優待が充実していることも有名ですが、高配当銘柄のなかでも成長力が高いのが特徴です。コロナにみまわれた’21年3月期、従来20~30%ほどだった配当性向(純利益に対する配当の割合)を一時的に50%へ拡大しました。企業が苦しい時にこのような決断をするのは、株主の方を向いて経営している証拠で、長期保有を考える株主にとって心強いです」◆コロナ関連株にも注目証券アナリストの宇野沢茂樹氏は、長期投資に向いている企業の見極め方を次のように挙げる。「基本的には、業績が右上がりで、多少のピンチでも減配しない、体力のある企業が理想的です。また、創業から長い企業も蓄積してきた内部留保があり、さまざまな経営判断のカードを切れるので長期投資に向いていると言えます。日本株では、みずほ系の芙蓉総合リースを推します。収益が底堅く、コロナ禍でも利益をきちんと出し、太陽光発電事業などESGにも積極的で、機関投資家からの評価も高いです。また、東京海上ホールディングスは株価が堅調で、5年平均の配当性向を40%以上と掲げ、株主還元の意識の高さが窺(うかが)えます」続いて、日本の投資家の注目度が急上昇している米国株はどうだろうか。米国株は、日本株以上に長期投資でインカムゲインを狙う個人投資家が多く集まり、企業側も株主に増配で応える傾向が強い。まさに、個別株で「ほったらかし投資」を組むのに最適なマーケットだ。連続増配の「レジェンド」と言って差し支えないのが、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)である。日本では消臭剤『ファブリーズ』や洗濯洗剤『アリエール』などのブランドで知られる世界的日用品メーカーだが、65年連続増配という記録を更新中だ。投資家で米国株ライターの鈴木林太郎氏は次のように語る。「P&Gの強みは圧倒的なマーケティング展開で、約180の国と地域に65のシェアトップ3以内のブランドを展開しています。メガカンパニーゆえ、配当利回りが飛び抜けて高いわけではありませんが、景気に左右されない銘柄として長期投資に向いています」米国株では、企業の成長と株価の上昇はそれほど期待できないものの、足元の配当利回りが高い銘柄も多い。前出・鈴木氏が続ける。「高配当株の一例が、世界最大級の情報通信企業であるAT&Tです。米国全土に通信網が整備されており、成長可能性は鈍化しているものの、通信はインフラ投資に莫大な資金が必要なため寡占状態です。今後は傘下のワーナーメディアを独立させることで、経営の効率化が期待されています」AT&Tは36年連続の増配、それに追随するように26年連続の増配を続けるのが、ITの巨星IBMだ。「IBMはコンピュータ関連に限らない無数の分野でサービスを提供しており、企業というよりも一種の『研究機関』のような存在としてさまざまな製品を世界に提案しています。ハードウェア関連の不採算事業を縮小して事業の効率化を図っており、まだまだ増配の余力がある企業と言えるでしょう」(ファイナンシャルプランナーで「リーファス」株式会社代表の西崎努氏)中長期的にも注目し続けておきたいのが、コロナ関連株だ。’22年はワクチンから飲み薬の開発へと移行するフェーズに突入すると見込まれるが、ワクチンと飲み薬の需要は数年で途切れてしまうものではない。メガファーマの多くが、もともと地力の高い企業であることも安心材料と言えるだろう。「世界3位の製薬会社であるメルクは、コロナ治療薬『モルヌピラビル』の製造が話題になっています。メルクはこの恩恵をまだ事業計画に織り込んでおらず、世界各国で承認されていけば上方修正が期待されます。11年連続増配中で、信頼度も高い」(前出・宇野沢氏)日本株でも注目度が高いSDGsに力を入れている米国株はどうだろうか。前出・馬渕氏がある企業の名前を挙げる。「朝食用シリアルが有名なケロッグに注目です。売り上げの大半を占めるのが、実はシリアルではなくお菓子や冷凍食品で、安定したビジネスを展開しています。また近年では、植物由来の『代替肉』の分野にも参入しつつあり、これが長期的な成長ドライバーになる可能性もあります」日本株でも米国株でも「ほったらかし投資」のセオリーに差はない。安定した株を買って、配当金を「稼いでくる」のを待つ。それだけだ。『FRIDAY』2022年1月28日号より
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