沿って, smartwatches 13/07/2022

【西川善司の大画面☆マニア】激しさを増す“サムスン 対 LG”。サムスンが「マイクロLEDテレビ」を'18年に投入!?-AV Watch

 今年も会期初日と二日目は、近づくのが難しいほどサムスンとLGのブースは大混雑していた。

 ただ、ブースの作りは両2社で大部異なっていたように思う。サムスンは、新製品をカテゴリに分けて陳列するスタイルではなく、今年、一番力を入れているAI家電のプラットフォームを周知させる展示に変えてきたのだ。

 例年と違って、どこに何があるのかをあえて分かりづらくしている様子で、あえて中で迷ってもらっていろいろ見てもらうことを狙っているようであった。

 ブース内はモデルルームのような「おしゃれ空間」風のパーティションになっていて、そのそれぞれに冷蔵庫、洗濯機のような生活家電から、テレビやオーディオのようなAV家電までをレイアウトしていて、「サムスンのAI家電をおうちに置くとこんな感じです」というような展示としていた。

テレビ製品の展示コーナーも「2018年モデルの展示」よりも「SmartThingsでテレビが賢く使える」を訴える方に重きを置いていた

 サムスンが提唱するAI家電のプラットフォームは「SmartThings」という名前で、フロントエンドの「Bixby」がインターフェースとなる。「Hi! Bixby」と話しかけることで自然言語による音声操作ができる仕組みは、最近流行のスマートスピーカーと同じだ。そしてAIシステムのコアはクラウド側にある「SmartThings Cloud」で、各AI家電を制御するのは「SmartThings Apps」になる。

 このAIプラットフォーム「SmartThings」をサムスンは、冷蔵庫、洗濯機からテレビなどのAV家電にまで展開する方針で、ブースの至る所で「SmartThings」のロゴが踊る。

「Hi Bixby」と声を掛けて使うサムスンのAiエージェント「Bixby」「SmartThings」プラットフォームのフロントエンドがBixby、バックエンドが「SmartThing Cloud」一般的なユーザーにとっては「AI家電でなにができるのか」は分かりにくく「Bixby」と「SmartThings」のキーワードも捉えにくい。そこでステージでは短いサイクルでその解説プレゼンテーションを頻繁に行なっていたブース内の各パーティションをモデルルームのような生活感のある空間で演出。ちなみにここはPC関連製品展示コーナー。デジタルホワイトボードやPCモニターなどが実際のオフィス風に展示されている

 こうしたAIを家電に展開する戦略は、LGも「LG ThinQ」と「Deep ThinQ」として、今年のCESでは強く訴求を開始した。サムスンの「SmartThings」はLGの「LG ThinQ」に相当し、「SmartThings Cloud」は「Deep ThinQ」に対応する図式だ。

 対するLGの方は、例年通りのブース展開で、入口を有機ELディスプレイでテーマパークのアトラクション風に彩って来場者を出迎え、ブース内は、伝統的な各製品ジャンルごとに新製品を陳列させるスタイル。

LGブースにおける、大迫力のビデオウォールデモ。サウンドも立体音響チックに流され、来場者を包み込む

 例年、ブースの目玉になりつつある、入口のビデオウォールの2018年バージョンは、うねるように湾曲させた有機ELパネルを配置したものになっていて、雲海や洞窟、瀧が見える秘境的ジャングルの映像の中を歩ける体験が楽しめた。

 LGブースの担当者によれば、今回のビデオウォールは、(4Kではなく)フルHD解像度の55インチのデジタルサイネージ用の有機ELパネルを総246枚配置して構築したもので、総ピクセル数は5億以上になるというから凄まじい。

総数246枚の有機ELパネルからなるビデオウォールの迫力は圧倒的

 LG担当者が、今回のビデオウォール展示で特に強調していたのは「有機ELパネルならではの一定曲率ではない曲面パネル」だ。

 ある半径で表される円弧を切り取ったような曲面パネルは液晶パネルでも実現出来なくはないが、波打つような非線形な曲面はバックライトからの平行光を光源にした液晶ではまともな映像表示を行なうのは困難である…というのだ。自発光画素の有機ELパネルならばそれも簡単…というわけである。

盛り上がって凹むような、S字的にうねる曲面は、自発光ディスプレイの有機ELパネルでないと実現が難しい。自発光の利点は思わぬところにもあるものである

 この枚数の有機ELパネルに映像を送出するのは当然、マルチ映像出力に対応したPCとなるわけだが、各PC間はイーサネットベースで同期をとっており、このビデオウォールのプログラムを起動するのにもそれなりの時間が掛かるのだとか。それを4日間の会期中ずっと落とすことなく実行させ続けるのは担当者としてはヒヤヒヤものだったらしい。

 ちなみに会期2日目、ラスベガスコンベンションセンター全体が短時間ながらも停電に見舞われて騒然としたのだが、この停電の原因は、決してLGブースのビデオウォールが電気を使いすぎて起きたわけではない……とのことである(笑)