Adobe、無料の「Creative Cloud Express」投入。デザインの心得がなくても高品質コンテンツを簡単に作成可能に
PhotoshopやPremiere Proの使い方を知らなくても手軽に高品質な編集を可能にするCreative Cloud Express
Microsoft Store版Creative Cloud Expressを利用して2021年のF1チャンピオンになったマックス・フェルスタッペン選手のお祝いカードを作ってみたところ。こんなコンテンツも手軽に作ることができる、ちなみに作成にかかった時間は数分とあっという間に完成した今回発表された「Creative Cloud Express」は、従来のCreative Cloudの入門版として位置づけられる。元々は「Adobe Spark」という名称で提供されていたアプリケーションのうち「Spark Post」と呼ばれていた製品がベースになっており、ブランド名称や機能などが大幅に改良されている。
Creative Cloudが、Photoshop、Lightroom、Premiere Pro、Illustratorなどを使用するプロを対象にしているのに対して、Creative Cloud Expressはそうしたツールには精通していないようなユーザーを対象とし、誰でも手軽に高品質なコンテンツが作れることを目指したツールとなる。
例えば、写真の背景を削除して、人物だけを切り抜きたいというのはPhotoshopの基本的な使い方の1つだ。しかし、それを行なうには、まずその人物の領域を指定して、切り抜く必要があり、初めてPhotoshopを使う人にとってはどうしたらいいか見当がつかないだろう。
Photoshopには「被写体を選択」という機能が用意されており、切り抜きたい被写体を、AI(Adobe Sensei)が自動で判別して、髪の毛などの本来であれば指定が難しい部分の選択を自動で行なってくれる機能がある。しかし、それも知っていれば分かる話であって、基本的な機能を知らなければ、そこにたどり着けないはずだ。
元の写真を読み込んで「背景を削除」を選ぶだけで簡単に背景を削除して人物だけを切り出すことができる。ただ写真を選んで「背景を削除」を押すだけと文字通りワンタッチそれに対してCreative Cloud Expressは、そうした機能に対する前提知識がなくても使えるように配慮されている。人物を切り抜きたいときには「背景を削除」という分かりやすい名称で機能が用意されており、そこに写真をドラッグ&ドロップするだけで背景だけを切り抜いてくれるのだ。
ほかにも、「GIFに変換」、「ビデオサイズ変更」、「画像サイズを変更」などの目的に応じたクイックアクションが用意されており、ツールの使い方を知らなくても写真や動画を手軽に編集できる。実際にWindows向けのPWA(Progressive Web Apps)版で使ってみたが、簡単に人物を切り抜いて、手軽にコンテンツを作れることを確認できた。
Adobeが行なった会見ではサンフランシスコの有名なレストラン「百福」のオーナーであるデビッド・チャン氏が登場し、Creative Cloud ExpressでメニューやSNSへ投稿するコンテンツを作成する様子などが公開されたこれにより、画像や動画を手軽かつ高品質に編集したいというユーザーのニーズに応える。例えば、中小企業やレストランなどといった、PhotoshopやPremiere Proに精通した専任のデザイナーを置くことができないような規模の事業者であっても、Creative Cloud Expressを利用することで、見栄えのする自社ロゴを作成できる。
また、ビジネスパーソンが、PowerPointのスライドを作成する時に、Creative Cloud Expressで手軽に切り抜き画像をスライドに取り込むなどといった使い方が考えられるだろう。